9月23日(土)より新宿K's cinemaにてロードショー、全国順次公開
他の上映情報
広大な内モンゴルの草原を認知症の母と旅するミュージシャンの息子
監督・脚本:喬思雪(チャオ・スーシュエ)
エグゼクティブ・プロデューサー:曹郁(ツァオ・ユー)/姚晨(ヤオ・チェン)
撮影監督:曹郁(ツァオ・ユー)
編集:チャン・イーファン 音響:フー・カン
美術:ジャオ・ズーラン メイクアップ&衣装:リー・ジョウ
音楽:ウルナ/イデル/ウヌル
出演:母役:バドマ アルス役:イデル
内モンゴルの都会に暮らす電子ミュージシャンのアルス。馬頭琴でラップを歌う。ある日、ライブの最中に兄の家で暮らす母から電話が来た。ライブのあとで返信したが反応がない。心配になったアルスは兄夫婦の元を訪ねる。アルツハイマーを患う母は、集合住宅の狭い部屋に閉じ込められていた。アルスのことも認識できない。母は「家に帰りたい」という。
見かねたアルスは母を引き取り、母が望む故郷に連れ帰り、昔、家族で住んでいた家でふたり暮らしを始める。湖のほとりのとても景色の良いところで、母の心は癒されると思っていたけど、ここでも母は「家に帰りたい」と言い、次第に母の病状は悪化、徘徊を繰り返すようになってしまう。ついにアルスは母が遠くに行かないよう、しかたなく長い紐で母と自分の体を結ぶ。あたかもふたりが「へその緒」で繋がったかのようになった。原題の「臍帯」はへその緒の意味。
まるで少女に戻ったかのようになっていく母。ふたりは母の<思い出の木>を探す旅に出る。壮大な草原で伝統的なゲルでの移動の生活のなか、母は徐々に解放されていく。しかし、母の最期の時が近づいてくる。
昨年(2022)の東京国際映画祭で観た作品の中で、一番印象に残った作品。内モンゴルでの高齢者事情にびっくりした。日本と同じように都会と地方ではやはり事情は違う。息子役を演じたイデルは実際にもミュージシャンで、この映画の音楽も担当している。馬頭琴でラップをやっていたのが面白かった。母の<思い出の木>を探す広大な草原を巡るロードムービーでもある。
内モンゴル出身でフランスで映画を学んだ女性監督チャオ・スーシュエのデビュー作。「母親役以外はすべて、内モンゴルの現地で普段生活されている方たちが出てくれたので、そこで非常にリアルな内モンゴルでの生活というのを、うまく描くことができたと思います」と語っていた。(暁)
「家に帰りたい」という母を連れて、草原で暮らした家に行くも、そこも母の帰りたかった家ではなくて、伝統的な組み立て式の「ゲル」こそが母にとっては帰りたかった家。モンゴルの人たちにとっては、それこそが家なのですね。
馬頭琴などの伝統楽器に合わせて、伝統的な衣装で楽しそうに皆で踊る場面に、後世にも民族の文化を大事に伝えてほしいと思いました。(咲)
公式HP http://www.pan-dora.co.jp/sougen/
2022年|中国|モンゴル語|96分|カラー
配給:パンドラ
2023年09月18日
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