2023年09月17日
ロスト・キング 500年越しの運命(原題:The Lost King)
監督:スティーヴン・フリアーズ
原作:フィリッパ・ラングレー、マイケル・ジョーンズ
脚本:ジェフ・ポープ、スティーヴ・クーガン
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:サリー・ホーキンス(フィリッパ・ラングレー)、スティーヴ・クーガン(ジョン・ラングレー)、ハリー・ロイド(リチャード3世/ピート)、マーク・アディ(リチャード・バックリー)
フィリッパ・ラングレー45歳、夫と別居し息子二人と暮らしている。長年勤めた職場では、上司に理不尽な評価を受けて落ち込んでも生活のためにやめるわけにはいかない。家庭も仕事もうまくいかず、苦悩の日々を過ごしていたがある日転機が訪れる。息子の付き添いで舞台「リチャード三世」を観劇したことで、これまでのリチャード三世への印象が大きく変わった。
歴史書を読み漁り、講演会に出かけ、ファンの集いにも顔を出した。没後のプロバガンダやシェイクスピアの史劇により、甥たちを殺した冷酷非情な王として悪名が史実となってしまったのではないか?自分が周囲の人々に正しく理解されていないように・・・。
フィリッパは夫が呆れるほどリチャード三世に没頭し、いまだ見つかっていない遺骨を探そうと思い立つ。
宣伝のキャッチは「推し活」です。思わず、そうそうと思ってしまいました。故人だろうが、王様だろうが、気になる人は気になります。フィリッパの灰色だった毎日に光が差して、先へ行く道を照らしたのに違いありません。これが、事実を元にした話だというのに驚きます。きっとニュースになったはずですが、全く記憶にありません。
フィリッパの視線の先には舞台で観たリチャード三世が幻影となって現れ、言葉まで交わします。自問自答ですが、「一人推し活」の彼女にはおおいに慰めと力になったはず。表情や足取りが変わっていきます。
フィリッパの探索を冷笑していた学者や大学が、いざ遺骨が見つかると態度を変えるのが噴飯ものですが、主婦と大学の研究者ではこんなことになるものなんですね…。遺骨が見つかり、王として葬儀が行われ、国民に追悼されたことで良かったというべきでしょうね。サリー・ホーキンスは『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』『シェイプ・オブ・ウォーター』以来見損ねていましたが、不思議な話でも「そんなこともあるかも、あってほしい」と納得させる力があります。(白)
2022年/イギリス/カラー/ビスタ/108分
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
(C)PATHE PRODUCTIONS LIMITED AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2022 ALL RIGHTS RESERVED.
https://culture-pub.jp/lostking/
★2023年9月22日(金)TOHOシネマズシャンほか全国ロードショー
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