2023年08月27日

福田村事件

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監督:森達也
脚本:佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦
撮影:桑原正
音楽:鈴木慶一
出演:井浦新(澤田智一)、田中麗奈(澤田静子)、永山瑛太(沼部新助)、東出昌大(田中倉蔵)、コムアイ(島村咲江)、木竜麻生(恩田楓)、松浦祐也(井草茂次)、向里祐香(井草マス)、杉田雷麟(藤岡敬一)、カトウシンスケ(平澤計七)、ピエール瀧(砂田伸次朗)、水道橋博士(長谷川秀吉)、豊原功補(田向龍一)、柄本明(井草貞次)

大正12年(1923年)、9月1日11時58分、南関東を中心に巨大地震発生、甚大な被害をもたらした。2日には東京府下に戒厳令が施行され、次々と近隣の市町村へと広がっていく。「朝鮮人が暴動をおこし、放火、井戸へ毒を入れた」など噂が飛び交い、多くの人々は恐怖から疑心暗鬼にかられていく。混乱に乗じて官憲による社会主義者の弾圧も行われていった。
震災から5日後、利根川沿いの村で香川県から訪れた薬の行商人たち15人が自警団によって、足止めを食う。方言を話す彼らを朝鮮人と疑った末、幼児や妊婦を含む9人が殺害された。

関東大震災による、死者・行方不明者は推定10万5千人。お昼前だったことから火を使っている家庭も多く、火事による犠牲者が多数。災害によるものだけでなくデマによって殺された人もいました。「朝鮮人が暴動を画策」という情報は、初め内務省からの通達にあったもの。それが震災後の秩序の崩壊で混乱している巷にあっというまに拡散されていったようです。
本作ではのどかな村で暮らしていた人々が流言飛語に踊らされ、家族や村を守るという正義感のもと暴徒と化していく顛末が描かれています。これが福田村ばかりでなく、震災後、各地で起こったというのが恐ろしいです。恐怖は人心を操るのに、最も効果があるそうです。自分がならないとは言い切れません。当事者が口をつぐんでしまった加害の歴史にもつながります。
井浦新さん演じる澤田にも、明かさなかった苦い思い出がありました。カトウシンスケさん演じる運動家への弾圧も、形は変わっても根絶してはいないでしょう。昔の話と片付けられません。
関東大震災からちょうど100年経った今年、森達也監督によって映画となった本作、満を持して9月1日に公開されます。(白)


2023年/日本/カラー/シネスコ/137分
配給:太秦
(C)「福田村事件」プロジェクト 2023
https://www.fukudamura1923.jp/
★2023年9月1日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 16:50| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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