2023年08月27日

復讐の記憶   原題: 리멤버(リメンバー) 英題:REMEMBER

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監督: イ・イルヒョン(『華麗なるリベンジ』)
出演: イ・ソンミン、ナム・ジュヒョク、チョン・マンシク、ユン・ジェムン、ソン・ヨンチャン

80を越えたピルジュは、ファミリーレストランで勤続17年を迎えた最高齢アルバイト。同僚の20 代の青年インギュとは「フレディ」「ジェイソン」と呼び合う親しい仲だ。
認知症に見舞われ、自分の記憶が長くは続かないと悟ったピルジュは、バイトを辞め、60年前から計画していた復讐殺人を決行すべく銃を手にする。日本植民地時代、ピルジュは家族すべてを親日派の為に失ったのだ。標的の5人の名前を忘れないよう指にタトゥーで刻む。赤いポルシェを買い、インギュを1週間の約束で運転手に雇う。何も知らないインギュは、最初の復讐現場で監視カメラに映っていたことから第一容疑者にされてしまう。ピルジュの復讐計画を知ったインギュは、警察に追われながらもピルジュを制止しようと同行する・・・

日本植民地時代、ピルジュの父は濡れ衣で捕まり、拷問の末に亡くなり、母は後を追って自死。兄は強制徴用された日本の炭鉱で亡くなり、姉は慰安婦として従軍後、故郷に帰り命を絶っています。家族を死に追いやるも生き続けている「親日派」が、ピルジュの復讐の対象。当時、先頭に立って創氏改名に応じ、日本の手先となったキム・チドク。ピルジュの姉の許嫁でもあったのですが、ピルジュに責められ、「あの時代を生きただけ」と言い放ちます。親日派になることが生きる術だったことに思いが至ります。

本作の原作は、クリストファー・プラマー、ブルーノ・ガンツ共演のカナダ・ドイツ合作映画『手紙は憶えている』(2015年 監督:アトム・エゴヤン、脚本:ベンジャミン・オーガスト)。 アウシュビッツ収容所の生存者である主人公が、家族を殺したナチス兵士が身分を偽り、今も生きていることを知り復讐の旅に出るという物語。韓国の歴史や社会を背景にして、大胆にリメイクしています。

まだ50代前半のイ・ソンミン(1968年生まれ)が、特殊メイクとはいえ、80代の高齢者に見えてびっくりさせられます。ドラマ「未生~ミセン~」(2014年)、映画『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』(2018年)、『KCIA 南山の部長たち』(2020年)等々と共に名優ぶりが印象に残る作品です。
若い相棒インギュ役のナム・ジュヒョク、親日派キム・チドク役パク・クニョン、二人を追うカン刑事を演じたチョン・マンシクも好演です。

復讐に燃えるピルジュですが、最後の5人目の標的「清原」の正体を知った時、胸が震えました。戦争が人の心の奥深くに傷を残すこと、そして、それは誰にも言えないことなのだと。(咲)


2019年/韓国/128分/カラー/スコープサイズ/5.1ch
配給:ハーク 配給協力:FLICKK
公式サイト:https://fukushu.jp/
★2023年9月1日(金)シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国公開




posted by sakiko at 14:39| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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