2023年08月20日
イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K、ドキュメンタリー映画『イ・チャンドン アイロニーの芸術』
韓国の巨匠イ・チャンドン初の特集上映
「イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K」
配給:JAIHO
公式サイト:https://leechangdong4k.com/
★2023年8月25日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
長編デビュー作『グリーンフィッシュ』から『バーニング 劇場版』までの6作品は4K上映となり、レストア作業はイ・チャンドン監督自らが指揮を執っています。
【上映作品】
『イ・チャンドン アイロニーの芸術』
『バーニング 劇場版 4K』
『ポエトリー アグネスの詩 4K レストア』
『シークレット・サンシャイン 4K レストア』
『オアシス4K レストア』
『ペパーミント・キャンディー4K レストア』
『グリーンフィッシュ 4K レストア』
『イ・チャンドン アイロニーの芸術』 原題:Lee Chang-dong: The art of irony
監督:アラン・マザール 『THE STRANGE CASE OF ATOM EGOYAN』(2010年・未)
出演:イ・チャンドン、ムン・ソングン、ソル・ギョング、ソン・ガンホ、チョン・ドヨン、ムン・ソリ、ユ・アイン
2022年/フランス・韓国/韓国語/カラー./ビスタ/5.1ch/99分
イ・チャンドン作品に魅了されたフランスのドキュメンタリー監督アラン・マザールの脚本を元に、被写体であるイ・チャンドン自らがこれまでに制作した映画と人生を語る。
教鞭を執る傍ら、小説家として活動し幾つかの著書も出版したイ・チャンドン。43歳の時に、『グリーンフィッシュ』で監督デビュー。続く『ペパーミント・キャンディー』では現在から過去へ時間を遡る方法で、1人の男の人生をエモーショナルに描き、韓国のみならず海外でも上映され、世界中でその名を知られるようになる。『オアシス』では、男女の究極の愛を描き、ヴェネチア国際映画祭で監督賞、主演のムン・ソリは新人女優賞に輝いた。2002年、韓国文化観光部の長官に就任する。その後、『シークレット・サンシャイン』を発表。過酷な運命に翻弄される主人公を演じたチョン・ドヨンは、カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞する。その後、『ポエトリー アグネスの詩』がカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞、『バーニング 劇場版』が同映画祭で国際批評家連盟賞他、多数の賞を受賞。
本作では、監督作全6作品を現在から過去へと辿り、ゆかりの地に自ら足を運ぶ“聖地巡礼”で振り返る。
『ペパーミント・キャンディー』のごとく、現在から過去に遡って、イ・チャンドンが映像作家となった原点を探る旅。イ・チャンドン自身が、映画ごとに作った時の思いや背景を語り、俳優たちが撮影当時のことを振り返ります。『バーニング 劇場版』のユ・アイン、『シークレット・サンシャイン』のソン・ガンホとチョン・ドヨン、『オアシス』のムン・ソリとソル・ギョング、続いて『ペパーミント・キャンディー』でもソル・ギョング。そして、初監督作品『グリーンフィッシュ』。それぞれの映画に、そんな意味があったのかと、あらためて映画を見直したくなりました。
新作が出来るたびに、ソウル劇場で初お披露目して映画人が集い祝う習わしだったのに、そのソウル劇場もシネコンに押されてなくなる運命と寂しそうに語るイ・チャンドン。
さらに映画監督となる前に遡って、独裁時代に自分の思いを小説に綴ったこと、小学校の頃から物語を書いて、友達に読んでもらっていたことが語られます。通っていた小学校で映画『あの空にも悲しみが』の撮影が行われ、お願いして出演させてもらったのが、映画との初めての出会い。何かに導かれるように、イ・チャンドンはなるべくして映画監督になったのだと思いました。
韓国の人たちの人生には、日本の植民地支配、朝鮮戦争、軍事独裁政治、光州事件等々、さまざまな苦難を経験したことが背景に横たわっていることも、あらためて認識させられました。
思えば、イ・チャンドン監督に初めてお会いしたのは、『ペパーミント・キャンディー』が赤坂の国際交流基金フォーラムでのアジア・フィルム・フェスティバルで上映された時のことでした。私の座っているすぐ脇を通って入場されたのですが、とても素敵で、「ご自分で主演をされた方がよかったのでは」などと、ソル・ギョングに失礼なことを思ったのでした。ソル・ギョングも、あの映画で初めて観たので、名優との認識がなかった次第です。(咲)
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