監督:脚本:三原光尋
撮影:鈴木周一郎
音楽:谷口尚久
出演:藤竜也(父・高野辰雄)、麻生久美子(娘・高野春)、中村久美(中野ふみえ)、徳井優(金森繁)、菅原大吉、山田雅人、日向丈、小林且弥、桂やまと
広島県尾道。職人気質の父・高野辰雄と、出戻ってきた一人娘・春は毎朝暗いうちから昔ながらの豆腐作りを続けている。辰雄は、病院で心臓の具合が良くないと告げられ、残していく春のことが急に気になってきた。自分が春の再婚相手を見つけよう、と親友たちに相談。2枚目のイタリアンのシェフとのお見合いの算段をするが、春にはすでに交際している男性がいると打ち明けられた。目論見が外れたうえ、相手が納品先のスーパーの店員・道夫と知って春に文句をぶつけてしまう。
いくつになっても、娘は娘なんだなぁと父と娘の愛情を感じた作品です。一本気な父は、娘のためにいい人を見つけたのに、自分の知らない間に娘が知り合いと交際していて腹を立ててしまいます。自分の先行きが不安なのも手伝っての口論だったのですが、売り言葉に買い言葉。不器用で言葉が足りない父親を藤竜也さんが演じて、はまり役。そこはかとなくにじみ出てしまう藤さんの色気は、病院で知り合ったふみえさんにも通じているようで、お二人お似合いです。
春の選んだ相手は、見た目ぱっとしなくとも(すみません)、父のように真面目な働き者です。春の頑固さも思えば父と似たところがあるのです。周りで応援したり冷やかしたりの仲間も、こんな友達がいたら老後も楽しいと思わせます。悪人もいなければ、事件もおきないまったりした家族の映画。それでもこの人たちが気になります。「こうやどうふ」でなく、高野(たかの)さんちの父と娘のこの先は、春らんまんとなりますか、いなや?(白)
2023年/日本/カラー/120分
配給:東京テアトル
(C)2023「高野豆腐店の春」製作委員会
https://takanotofuten-movie.jp/
★2023年8月18日(金)ロードショー
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