2023年08月06日
キエフ裁判 原題:The Kiev Trial
監督:セルゲイ・ロズニツァ
戦禍の蛮行を裁く、戦勝国による軍事裁判 1946年1月、キエフ。ナチ関係者15名が人道に対する罪で裁判に かけられる。この「キエフ裁判」は、第二次世界大戦の独ソ戦で、 ナチ・ドイツとその協力者によるユダヤ人虐殺など戦争犯罪の首謀者を断罪した国際軍事裁判である。身代わりを申し出る母から無理やり幼子を奪いその場で射殺し、生きたまま子供たちの血を抜き焼き殺すという数々の残虐行為が明るみになる。被告人弁論ではありがちな自己弁明に終始する者、仲間に罪を擦りつける者、やらなければ自らも殺されたと同情を得ようとする者と、その姿にハンナ・アーレントの<凡庸な悪> が露わになる。アウシュヴィッツやバビ・ヤールの生存者による未公開の証言も含み、「ニュル ンベルク裁判」と「東京裁判」に並ぶ戦後最も重要な軍事裁判が現代に蘇る。
ロズニツァ監督は、『バビ・ヤール』(2021)のアーカイブ映像をリサーチしている時に、「キエフ裁判」の映像に出会い、モスクワ中央ドキュメンタリースタジオのカメラマンがキエフのスタッフと共に裁判中の法廷を全て撮影した3時間近い映像がロシアとウクライナの国立公文書館に保管されていることを知りました。1946年にニュース映像の中でごく一部が公開されただけの「キエフ裁判」。映像を精査し、裁判の全容を表し、最後には、判決に従ってカリーニン広場(現在:独立広場)で行われたナチ犯罪者の公開処刑の場面も加え、キエフ裁判の顛末を淡々と映し出しています。
生々しい絞首刑を大勢の人々が取り囲み眺める姿に、背筋が寒くなりました。見物している人も、そして、映画を観ている私を含め、誰しもがいつか逆の立場になるかもしれないことを肝に銘じなければ! 人間とは、置かれた立場でおぞましいことにも手を染めてしまうものだと。(咲)
この「キエフ裁判」は、「東京裁判」と同じように戦勝国による裁判。第二次世界大戦の独ソ戦でユダヤ人虐殺など、ナチス・ドイツとその協力者による戦争犯罪の首謀者15人を断罪した国際軍事裁判。いくつもの残虐行為が明るみに出て、それにかかわったナチ協力者と証言者の記録映像が流される。そして傍聴する人々の姿も。最後の公開処刑のシーンはショックでした。正直、ここまで出す必要があるのかと思いました。それにしてもたくさんの人が見に来ていたのには驚きました(暁)。
第79回ベネチア国際映画祭正式出品
2022年/オランダ=ウクライナ製作/106分/モノクロ 1.33/5.1ch/ロシア語、ウクライナ語、ドイツ語
日本語字幕 守屋愛
配給:サニーフィルム
★2023年8月12日(土)よりシアター・イメージフォーラム、第七藝術劇場、京都シネマ 他全国順次公開
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