2023年07月30日
ジェーンとシャルロット(原題:Jane par Charlotte)
監督・脚本:シャルロット・ゲンズブール
撮影:アドリアン・ベルトール
出演:ジェーン・バーキン、シャルロット・ゲンズブール、ジョー・アタル
「ママのことをもっと知りたい」ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールの娘、シャルロットは母に向けてカメラを回し続ける。初めて作るドキュメンタリーで、力の入ったシャルロットはつい踏み込んだ質問をしてしまった。母は泣きだして撮影は続けられなくなり、2年の時が流れて行く。2人で映像を観た後、撮影を再開、素顔の母と娘の姿がフィルムに残された。
試写を観た後の7月16日、ジェーン・バーキンが自宅で亡くなったことを知りました。1964年、18歳で映画音楽を手掛けていたジョン・バリーと結婚して娘ケイトをもうけた後、離婚。1968年フランスに移り、セルジュ・ゲンズブールと出逢います。娘シャルロットが生まれました。12年間の事実婚の後別れて、1981年にジャック・ドワイヨンと結婚。1982年に娘ルー・ドワイヨンが生まれますが、後離婚。3人のパートナーとそれぞれの娘が一人ずつ、76歳で亡くなるまで自分を飾らず、素直に生きた方なのだろうと想像します。
映画の冒頭は来日したときの映像です。東日本大震災のときは、早い段階でメッセージを発表、クラウドファンディングをして来日チャリティコンサートを開催していました。17年に再来日、20年にもコンサート開催の予定でしたが、コロナ禍で中止の憂き目にあいました。中ほどで、シャルロットが父親セルジュから受け継いだ古い家に、ジェーンを案内します。自分には入る資格はないと思っていた、と遺された品々を懐かしそうに見る姿。ものには思い出がついているので捨てられない、片付けができない、というのに親近感がわいてきます。
飛行機でエルメスの社長と偶然隣席になり、片付けや整理が苦手な彼女のために使い勝手の良いバッグを作ると約束して、エルメスで生みだされたのが「バーキン」。今も大人気のバッグです。数百万円のバッグは買えませんが、素顔の彼女の映像は、映画館で観ることができます。この映像を残して逝くなんて。R.I.P.(白)
シャルロット・ゲンズブールの母ジェーン・バーキンへの思いに溢れた映画に感無量でした。その直後に、ジェーン・バーキンさんが亡くなられたとの報。この映画を作っておいてよかったと、シャルロットさんも胸がしめつけられる思いではないでしょうか。
私がジェーン・バーキンさんのことを知ったのは、2010年のフランス映画祭の団長として来日された時のことでした。イギリス人のジェーンさんがフランス語を学ぶ人へのメッセージを問われた時の答えがとても素敵でした。
フォトセッションの時に、足元に置いたバッグを係の方が取り下げようとしたのを、カメラマンの方たちから「それは置いておいて!」と声がかかりました。エルメスのバーキンでした。私には初めて知ることばかりでしたが、飾り気のないジェーン・バーキンさんがとても素敵で、すっかりファンになったのでした。
ジェーンさんの発言をぜひ下記レポートでお読みください。(咲)
フランンス映画祭2010 オープニングイベントレポート
http://www.cinemajournal.net/special/2010/fffj2010b/index.html
ユニフランス代表 ハッチョンドさん(左)とジェーン・バーキン団長(右) 足元の鞄に注目!
撮影:景山咲子
2021年/フランス/カラー/シネスコ/92分
配給:リアリーライクフィルムズ
(C)2021 NOLITA CINEMA – DEADLY VALENTINE PUBLISHING / ReallyLikeFilms
https://www.reallylikefilms.com/janeandcharlotte
★2023年8月4日(金)ロードショー
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