『少年』 原題:小畢的故事/英語タイトル:Growing Up
台湾巨匠傑作選2023 にて上映
2023年7月22日(土) ~ 9月8日(金) 新宿K’s cinemaほか順次開催!
©1983 Central Motion Picture Corporation & Evergreen Film Company / ©2023 Taiwan Film and Audiovisual Institute
2023年の“台湾巨匠傑作選”は、「台湾映画新発見!」というテーマで、台湾ニューシネマのルーツとエンターテインメント映画の系譜を紐解く。その中でも台湾ニューシネマの原点といわれる『少年』は注目作。
『少年』は、朱天文(チュー・ティエンウェン)原作・脚本、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の製作。監督は、侯孝賢監督の盟友であり、撮影で侯孝賢監督を支えた陳坤厚(チェン・クンホウ)。原作は、新聞に掲載された朱天文の短編小説「小畢的故事(シャオビーの物語)」。これはふたりの出会いとなった作品で、これ以降、侯監督全作品の脚本は朱天文が担当することになり、多くの作品を生み出してゆく。
日本での劇場公開は初。
監督・撮影:陳坤厚(チェン・クンホウ)
原作・脚本:朱天文(チュー・ティエンウェン)
脚本:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、丁亞民(ディン・ヤーミン)、許淑真(シュー・シューチェン)
エグゼクティブプロデューサー:明驥(ミン・チー)
プロデューサー:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、徐国良(シュー・クオリャン)
編集:廖慶松(リャオ・チンソン)
音楽:李宗盛(ジョナサン・リー)
キャスト
母 シウイン(秀英)… 張純芳(チャン・チュンファン)
父 ビー・ターシュン(畢大順)… 崔福生(ツイ・フーシェン)
アジャ(畢楚嘉=ビー・チュージャ/小畢=シャオビー)… 顔正国(イェン・チェンクオ/幼年)、鄭傳文(ジョン・ジュアンウェン/小学生)、鈕承澤(ニウ・チェンザー/中学生)、庹宗華(トゥオ・ツォンホア/成年)
少年シャオビーの成長を、同級生でもある隣家の少女の目線で描いた作品で、当時の子供たちの姿を活き活きと描いている。『風櫃の少年』『童年往事 時の流れ』に連なる作品。
1960年代の台湾北部の川沿いのまち淡水。未婚の母シウインは、5歳の息子アジャ(小畢=シャオビー)/畢楚嘉(ビー・チュージャ)の将来のため、年の離れた外省人の公務員のビー・ターシュンと見合い結婚する。ターシュンはアジャを温かく見守り、実の息子のように可愛がる。やがてアジャの弟が生まれ、弟が二人に。中学に上がったアジャは悪友たちとともに問題を起こしてばかりの日々に。どんなにひどい悪さをしても、ターシュンはアジャのことをかばってくれたが、ある日、不注意から弟の命を危険にさらし、さらに追い打ちをかけるように喧嘩騒ぎを起こし、とうとうターシュンを怒らせてしまった。シウインにとってターシュンとの結婚は、アジャに良い教育を受けさせるためのものだった。しかし、ターシュンに対してアジャが放った言葉は、結婚当初からの変わることのないターシュンの優しさに恩義を感じていたシウインをひどく傷つけ、やがてシウインは自ら命を絶ってしまう。
最愛の妻を亡くし悲しみに暮れるターシュンは、息子たちを連れて淡水を去った。やがてアジャはターシュンの反対を押し切って空軍学校へ進む。シウインがターシュンに告げたただひとつの結婚の条件は、アジャを大学に進学させることだったので、ターシュンは妻との約束を守りたかったが、アジャにとっては自堕落な自分と決別し人生をやり直すと決めた道だった。
数年後、小学校の同窓会が開かれ、懐かしい顔ぶれのなかに誇らしげに空軍の制服を着たアジャの姿があった。
『少年』は、封切り後瞬く間に大ヒットとなり、さらにこの年の金馬奨では先に紹介した最優秀脚本賞をはじめ、最優秀監督賞、最優秀編集賞を受賞し、台湾ニューシネマの夜明けを代表する記念碑的な作品となった。
陳坤厚(チェン・クンホウ)監督紹介 HPより
©1983 Central Motion Picture Corporation & Evergreen Film Company / ©2023 Taiwan Film and Audiovisual Institute
1939年台中生まれ。1962年に中央電影公司に入社後、叔父である名カメラマンのライ・チェンイン(賴成英)の助手として撮影を学び、以後、当時健康写実路線映画の代表監督リー・シン(李行)作品の撮影を担当し、1977年には『生きている限り僕は負けない(汪洋中的一條船)』で第15回金馬奨最優秀撮影賞を受賞。同じくリー・シン監督のスタッフだったホウ・シャオシェン(侯孝賢)と1979年より一緒に映画製作を始め、アイドルを起用した青春恋愛映画を立て続けに発表し、大ヒットとなる。その後1982年にホウ・シャオシェン、シュー・シューチェン(許淑真)とともに映画製作会社「萬年青」を設立、気鋭の作家チュー・ティエンウェン(朱天文)の短編小説『小畢的故事』をチェンがメガホンを執り映画化した。大ヒットとなった自身の長編5作目『少年』は第20回金馬奨で最優秀劇映画賞、最優秀監督賞、最優秀脚色賞を受賞し、台湾ニューシネマの幕開けを告げる作品のひとつとなった。その後1983年には『坊やの人形』の撮影を担当し、その後『冬冬の夏休み』までホウ・シャオシェンとの共作が続く。1985年からは独自の道を歩み始め、台湾ニューシネマを代表する監督のひとりとして『最想念的季節』(85)『流浪少年路』(86)『桂花小路(桂花巷)』(87)などを発表。
1983年/94分/台湾/カラー
★第20回金馬奨最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞受賞
トークショー
【日時】7/23(日) 10:00の回『少年』上映後
【登壇者】樋口裕子さん(翻訳家)
『台湾巨匠傑作選2023』公式HP https://taiwan-kyosho2023.com/
2023年07月21日
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