2023年07月21日
プレジデント 原題:President
監督:カミラ・ニールセン
1980年の独立以来、37年間にわたりジンバブエ共和国の政権を支配していたムガベ大統領がクーデターにより失脚。後継者として同国第3代大統領に就任した与党、ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF党)の代表ムナンガグワは翌2018年に行われる大統領選において「平和で信用できる公正な選挙を行う」と口では公言する。
対する野党、民主変革運動(MDC連合)はモーガン・ツァンギライ党首のもと選挙に備えるが、大統領選の4ヶ月前にツァンギライ党首が癌で死去。MDC連合の新党首として若きカリスマ、40歳の弁護士ネルソン・チャミサが任命される。チャミサは、リチウム、プラチナ、金、ダイヤモンドなど60種類もの鉱物資源があるにもかかわらず、国民は貧困に喘いでいるジンバブエの国を変えようと動く。
変わらぬ支配を目論む与党と、長年の腐敗に疲弊し、国内政治体制の変革を求める民衆に後押しされる野党。多くの国内外のマスコミや国民が注目するなか、国の未来を決める投票が始まるが……。
協議なしに投票用紙が印刷され、緊急会議を求める記者会見でのチャミサ
2021 © Final Cut for Real, Louverture Films & Sant & Usant
大統領選挙に出馬予定だった野党党首が選挙4か月前に急逝。新党首に選ばれた40歳のネルソン・チャミサが、ぐいぐい民衆を惹きつけていき、こんな指導者が我が国にもほしい!と思いました。
選挙で票の数がなかなか発表されず、アメリカの大統領選挙を思い出しました。「票を盗まれた」「不正があった」と騒動になるところが、民主主義国家であるはずのアメリカも、新興国ジンバブエも同じなのが面白いです。遠いジンバブエの話に留まらず、私たちに身近な問題を描いた映画だと思いました。
デンマーク出身の女性監督カミラ・ニールセンが、ジンバブエに長年住んでいるデンマーク人の作家兼ジャーナリストのピーター・ティゲセンとの縁で、前作『Democrats(民主主義者)』(2014年)を製作。本作がジンバブエでの2作目。ジンバブエ3部作の最後はジンバブエの女性たちに焦点をあてるとのこと。楽しみです。(咲)
1980年の独立以来、37年の長きにわたり、ジンバブエ共和国を支配していたムガベ大統領がクーデターにより失脚。その後、後継者として同国第3代大統領に就任した与党、ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF党)の代表ムナンガグワに。豊な資源からの利益は国民に分配されることなく、相変わらず一部の人たちが支配することが続いていたのでしょう。南アフリカに避難民として出る人も多数だったようです。
今回の選挙も、結局茶番なのでしょうか。「平和で信用できる公正な選挙」はいつの日、訪れるでしょう。
ネルソン・チャミサさんという人を追ったドキュメンタリーでしたが、こういう人が出てきて少しづつ変わって行ったらいいなと思いました。でもまだまだ、その日は遠そうです(暁)。
カミラ・ニールセン監督にお話を伺いました。
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/500113528.html
2021年/デンマーク・ノルウェー・アメリカ・イギリス合作/115分
配給:NEGA
公式サイト:https://president-jp.net/
★2023年7月28日(金)より池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
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