監督:ダニエル・ロペス
撮影:小橋川和弘
音楽:ドゥニ・フォンタナローサ
出演:比嘉優、仲原瑠季、金城平枝、島袋拓也、仲本克成、仲本あい、宮城小寿江、宮城豊子、前田心誠
沖縄本島宜野座村(ぎのざそん)。
人々を守り、悪霊を払う獅子が村を見守っている。パンデミックの渦中にあるこの村で、伝統芸能を守ろうとする様々な世代の人に出会う。
伝統芸能を愛することも、伝統芸能が消える悲しみも、全てを分かち合い、守るために奮闘する彼らの姿を目の当たりにするだろう。
沖縄に移住して20年のスペイン系スイス人の監督によるドキュメンタリー。
琉球芸能が生活の中に息づき、伝統芸能を守りながら生活する人々の姿を追い、伝統芸能を担い、伝え、継承し、守っていく人々の姿を様々描く。「ウムイ」とは、沖縄の言葉で「思い」を意味するという。
有名な「谷茶前節」(タンチャメーブシ)。この踊りを教わるのは保育園の生徒たち。とても可愛らしい保育園児の「タンチャメー」は心が弾む。海辺で舞を踊る人。芸能にはかかせない楽器を弾いたり、笛を吹いたり、作ったりする人の姿も映しだされる。最後、ガジュマルの樹の下で、ミンサー織の模様が入った服を着た二人が躍っていた舞は何だったのだろう。もうちょっと知りたい。
悪霊を払うという獅子が村を回る姿がところどころに出てくるが、最後に獅子作りの様子と、獅子の中に入っていた人の正体が明かされ納得。獅子を作る様子が興味深かった(暁)。
初日トーク中のダニエル・ロペス監督
ちょっとユーモラスな表情の獅子が村の中をゆったりと見回り、いろいろな芸能に導いてくれる構成が面白いです。父親の形見になった獅子を丁寧に操るのは島袋拓也さん。最初と最後には祈りを捧げて仕舞います。この映画には伝統の舞や音曲を伝える人、教わる人、さらに磨きをかける人たちが登場します。それぞれに胸に抱く「ウムイ」は、ポロリとこぼれたように控えめです。
子どもたちが楽しそうで、歌も踊りも小さなときから身体にしみ込んでいるのねと感じます。野球少年の前田心誠(まえだしせい)君も頼もしく、この芸能は時代につれて変わることはあっても、無くならないのではないでしょうか。
エイサーは力強く、カチャーシーは楽しく賑やかで、三線が鳴ると踊りだしたくなる人たち。訪れたみんなが魅了されるのは、あけっぴろげで懐の深いところかも。歴史の重さや今の憂いも受け止める沖縄。旅行で訪ねて楽しむだけの私は、申し訳ない気持ちがどこかにあります。
昨年沖縄に行ったのに、宜野座村は高速バスで通過しただけでした。次に機会があったら、本島の中ほどのここにも途中下車してみたいです。(白)
沖縄は神の島。屋根の上のシーサーが村を見守る中、着ぐるみの獅子がのどかに村の中を歩いている姿が、なんとも微笑ましいです。練り歩くのでなく、のらりくらりという感じ。
島袋拓也さんがお父さんの遺志を継いで、宜野座村の伝統芸能を伝えていこうとする姿が素敵です。
保育園では、子どもたちに伝統舞踊に興味を持ってもらおうと熱心に教えている保育士さんたちがいます。こういう努力があって、伝統は伝わっていくのだと思いました。
三線や笛の後継者がいないというのが心配です。
三線の手ほどきを受けている子どもたちの中から、これからも引き続き練習して、担い手になってくれる人が出てくるのを願うばかりです。笛は竹から作るところから始めないといけないのがさらに大変そうです。
固有の文化を守り、受け継ぐことの大切さを、大人は子どもに伝えないといけないですね。(咲)
●初日ゲストトーク書き起こしはこちら
2022年/日本/カラー/75分
配給:ムーリンプロダクション
(C)VIVA RYUKU
https://umui-cinema.com/
★2023年7月日15日(土)ロードショー