2023年07月02日
遠いところ
監督:工藤将亮
脚本:工藤将亮、鈴木茉美
主題歌:唾奇(つばき)「Thanks」
出演:花瀬琴音(アオイ)、石田夢実(海音)、佐久間祥明(マサヤ)、長谷川月起
沖縄県・コザ。
17歳のアオイは、夫のマサヤと幼い息子の健吾と3人で暮らし。おばあに健吾を預け、生活のため友達の海音(ミオ)と朝までキャバクラで働くアオイだったが、 建築現場で働いていた夫のマサヤは不満を漏らし仕事を辞め、アオイの収入だけの生活は益々苦しくなっていく。マサヤは新たな仕事を探そうともせず、いつしかアオイへ暴力を振るうようになっていた。
そんな中、キャバクラにガサ入れがあり、未成年のアオイは店で働けなくなる。悪いことは重なり、マサヤが僅かな貯金を持ち出し、姿を消してしまう。仕方なく義母の由紀恵の家で暮らし始め、昼間の仕事を探すアオイだったがうまくいかない。さらにマサヤが暴力事件を起こし逮捕され、被害者への多額の示談金が必要になる。切羽詰まったアオイは、キャバクラの店長からの仕事の誘いを受ける―
日本の若年層の貧困を描いたドキュメンタリーのように見えました。17歳で母親になったということは、高校を卒業していないのね。職業も限られてしまいます。マサヤがもっとちゃんとしていたら、と詮ないことを考えます。沖縄には仕事が少ない、あっても日本で一番低賃金です。時給のランキングを見るといつもしんがりにある名が沖縄。東京は一番高いですが、代わりに他のものが高くて生活費がかかります。近隣の助けもないに等しいです。それを思うと、おばぁや母に頼れるのを知っているから、マサヤも高をくくっているのかもしれません。それにしてもマサヤ、夫や父の自覚がなさすぎます。
若いうちの結婚や出産もほかの都道府県に比べて多い沖縄、これはアオイ一人の問題ではなく、たくさんのアオイがいるのでしょう。健吾の母親でいたいアオイを支える手がもっとあれば、と思わずにいられません。撮影より早く沖縄に入って暮らしたという若い俳優さんたちのリアル、それを引き出したスタッフさんたち、その熱意にこたえて、最後まで観てください。一人遊びをする健吾くんが可愛くて、おばぁならずとも何とかしてあげたい~。(白)
☆第23回東京フィルメックスのコンペティション部門 観客賞受賞
2022年/日本/カラー/128分
配給:ラビットハウス
(C)2022「遠いところ」フィルムパートナーズ
http://afarshore.jp/
★2023年7月7日(金)ロードショー
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