2023年06月25日

小説家の映画   原題:소설가의 영화  英題:The Novelist's Film

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監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽:ホン・サンス
出演:イ・へヨン、キム・ミニ、ソ・ヨンファ、パク・ミソ、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ、ハ・ソングク、キ・ジュボン、イ・ユンミ、キム・シハ

長らく執筆から遠ざかっている著名作家のキム・ジュニ。ソウルから少し離れた河南(ハナム)市のお洒落な書店を訪ねる。創作仲間だった後輩が店主で、彼女はいろいろな人間関係が面倒になり、今は好きな本に囲まれて気ままに過ごしているという。書店を後にして、町を見晴らすユニオンタワーに上ったジュニは、映画監督ヒョジンとその妻にばったり出会う。かつてジュニの小説を映画化する予定だったが、出資者の意向で立ち消えになったことがあり、監督はちょっと気まずそうだ。タワーを降り、監督夫妻と共に公園に行くと、散歩中の女優ギルスと出会う。有名な女優だが最近は出演作が途絶えている。監督に紹介され、ジュニとギルスは初対面だったが、ギルスも作家としてのジュニは尊敬する存在と意気投合する。監督夫妻と別れ、二人で話しているところにギルスの甥で映画学校に通うギョンウがやって来る。ジュニは、いつか映画を撮りたいと思っていたと、二人に映画製作を実現したいと持ちかける。
ジュニはギルスと遅めの昼食をとるために入った食堂で、なぜ映画を作りたいかについて話す。食堂を出て、ギルスから先輩との飲み会に誘われてついていくと、そこは後輩の経営する書店だった。しかも、飲み会には、かつてジュニがよく一緒に飲み歩いていた詩人の男性も加わる・・・

人と人との会話で物語が進んでいく、ホン・サンス監督の映画スタイル。時にまったり、時に激しく、言葉が飛び交います。お酒が入ると熱が籠るのもお決まり。
今回は、小説家が女優と出会って、映画を作る話がトントン拍子に進み、最後は小さな素敵な映画館で、キム・ユニ演じる女優ギルスが、自分の出演する小説家の作った短編を観るところまで行きつきます。
しばらく執筆していなかった小説家が、映画を作る夢を叶えてしまう物語。
人は好きなことをして生きるのが、何よりの幸せと教えてくれる一作。

小説家を演じたのは、『あなたの顔の前に』でホン・サンス監督作品に初めて出演し元女優を貫禄たっぷりに演じたイ・ヘヨン。
監督役のクォン・ヘヒョは、ホン・サンス作品の常連。お顔を観るだけで笑いたくなってしまうのですが、妙な安心感があります。実の奥様チョ・ユニと、本作では夫妻役。
そのほかの出演者も、ホン・サンスの映画でお馴染みの方たち。会話の間の取り方が絶妙です。
ところで、今回の映画の舞台であるソウルの東隣の河南市は、お洒落なカフェの多い町としても人気だそう。訪ねてみたくなりました。(咲)


2022年 第72回ベルリン国際映画祭 銀熊賞受賞

2022年/韓国/韓国語/92分/モノクロ・カラー/1.78:1/モノラル
字幕:根本理恵
配給:ミモザフィルムズ
公式サイト:https://mimosafilms.com/hongsangsoo/
★2023年6月30日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
posted by sakiko at 20:32| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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