2023年06月11日

青いカフタンの仕立て屋   原題:Le bleu du caftan  英題:THE BLUE CAFTAN

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© Les Films du Nouveau Monde - Ali n’ Productions - Velvet Films – Snowglobe

監督・脚本:マリヤム・トゥザニ
出演:ルブナ・アザバル サーレフ・バクリ アイユーブ・ミシウィ

モロッコ、海沿いの街サレ。クルアーンの朗誦が聴こえてくる旧市街の路地裏。小さな仕立て屋で、モロッコの伝統的な民族衣装カフタンを丁寧に作り上げる職人気質の夫ハリムと、そばで支える妻のミナ。伝統を継承する為に若いユーセフを雇う。ハリムが刺繍や仕立ての技術をユーセフに教える姿をみながら、ミナは二人の間にある微妙な感情に気づく。一方で、ミナは病に侵され余命わずかと知る・・・ 

『モロッコ、彼女たちの朝』で、未婚で身籠った女性と、彼女を手助けする未亡人のパン屋の店主を描いたマリヤム・トゥザニ監督。未婚で母になるというイスラーム社会では許されないテーマを瑞々しく描いていましたが、本作でもイスラーム社会でタブーの同性愛を取り上げています。ハンマームで個室を借りた男性二人の足元を映した場面は生々しくてドキドキ。見つめあう男たちや、そんな二人を静かに見守るミナの眼差しは、とても優しくて、味わい深いです。
ミナを演じているのは、『モロッコ、彼女たちの朝』でパン屋の店主を演じたルブナ・アザバル。そのほか、『ビバ!アルジェリア』『パラダイス・ナウ』『愛より強い旅』『灼熱の魂』『テルアビブ・オン・ファイア』などに出演し、印象深い女優さん。

『モロッコ、彼女たちの朝』では、パン屋を舞台に美味しそうなパンが出てきましたが、本作では、モロッコのお料理が出てきます。ミナが手間暇かけて作ったルフィサや、ユーセフが体調の悪いミナのためにタジン鍋で作った卵料理・・・
ミナが夫に「モハの店でミントティーを飲みたい」とねだって行くのですが、客のほとんどが男。二人で歩いていると、身分証をチェックされ、婚姻証明まで求められるという、この地域ならではの場面もありました。
さて、ハリムがユーセフと共に丁寧に刺繍を施して作り上げた青いカフタン。ラストの場面に涙です。(咲)


2022年/フランス、モロッコ、ベルギー、デンマーク /アラビア語/122分/ビスタ/カラー/5.1ch
字幕翻訳:原田りえ
提供:WOWOW、ロングライド 
配給:ロングライド
公式サイト:https://longride.jp/bluecaftan/
★2021年6月16日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開




posted by sakiko at 18:22| Comment(0) | モロッコ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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