2023年06月11日

アシスタント(原題:THE ASSISTANT)

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監督・脚本・製作・共同編集:キティ・グリーン
出演:ジュリア・ガーナー(ジェーン)、マシュー・マクファディン(ウィルコック)、マッケンジー・リー(ルビー)、クリスティン・フロセス(シエナ)

名⾨⼤学を卒業したジェーンは、有名なエンターテインメント企業に就職した。将来は映画プロデューサーになりたいという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜いてきた。実際にアシスタントになってみれば、電話の受付にコピーや片付けの雑用ばかり。男性社員の妻の電話を代わりに受けさせられ、罵倒されるのも仕事のうちらしい。朝は早くから出社して、最後に退社する多忙な毎日で、父親の誕生日さえ忘れていた。それでも夢に近づくためと自分に言い聞かせて働いている。
業界の⼤物である会⻑のハラスメントに気づいたジェーンは、それが社内で周知のことだと知る。しかしどうにも見過ごすことができず人事部へ相談に行くことにした…。

2017年ハリウッドから火がつき、世界中で話題となった「#Me Too運動」。日本でも映画業界でパワハラやセクハラを問題視、改善していこうというムーブメントが起こり、ほかへも広がっていきました。
2019年に発表されたこの作品は、まだ業界の空気に染まらない新入社員を通して描いています。上役の理不尽な要求に抗えないのは、上から下まで同じ。上を目指すうちに、下にいたときに舐めた辛酸を忘れていくのでしょうか。
同じフロアの男性社員は、アシスタントのジェーンを軽んじているし、思い悩む彼女が相談できる相手ではありません。人事部の男性の言葉に”はらわたが煮えくりかえりそうになる”女子は多いはず。とどめによこしたメールもひどい。ジェーンが人事部に行ったことはすぐに知られて、周りの反応がいくつか出てきます。遅くてもないよりはましですが、遅いし、前例に倣わせるだけで改善しようというものではありません。
「#Me Too運動」がいろいろと話題になった後、いつのまにやら元に戻っていないことを祈るばかり。ジェーン役のジュリア・ガーナーが、グリーン監督の指導か、抑えた演技に徹しています。セリフも少なく、無理に笑顔を作ったり無言で涙したりの静かなシーンが、大仰な告発よりも胸にささります。(白)


2019年/アメリカ/カラー/シネスコ/87分
配給・宣伝:サンリスフィルム
© 2019 Luminary Productions, LLC. All Rights Reserved.
https://senlisfilms.jp/assistant/
2023年6月16日(金) 新宿シネマカリテ、恵比寿ガーデンシネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開

posted by shiraishi at 16:49| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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