2023年06月08日

リファッション~アップサイクルでよみがえる服たち~  原題:reFashioned

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監督:ジョアンナ・バウワーズ
プロデューサー:ケイト・フレミング・デイヴィス
音楽:ホー・リン・タン
出演:エドウィン・ケー、サラ・ガーナー、エリック・スウィントン、ヴァネッサ・チョン、ロナ・チャオ、エリック・バン

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世界有数の人口密集都市・香港。膨大な廃棄物の埋め立て地で毎年地形図が変わるほど。もう埋め立てるには限界に達している。そんな香港で、廃棄衣料から新たな服を作り出す技術、高級子供服の古着販売や、ペットボトルのリサイクルなど、持続可能な社会を作ろうとする3人の香港の人びとの挑戦を記録したドキュメンタリー。

「香港繊維アパレル研究所(HKRITA)」CEOエドウィン・ケー
香港政府のイノベーション技術委員会から資金提供を受け、理工大学が組織する研究所。
香港の繊維メーカーNOVETEXと共に廃棄衣料からテクノロジーにより水と薬品を使用せず糸にし、新たな服にアップサイクルする画期的な新技術を開発。

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ファッションバイヤーのサラ・ガーナー。高級子供服の古着を販売するオンライン・プラット・フォーム「Retykle」を創業。

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香港で分別廃棄されていないペットボトルのリサイクルに挑戦するエリック・スウィントン。ごみ回収業の高齢者に公正な賃金を支払い、ペットボトルを回収して織物などにアップサイクルすることで、香港のプラごみ問題と社会問題を同時に解決することを模索。
香港ではペットボトルを糸に変えることができないことに気づき、ペットボトルを輸入してくれる国を見つけるためにアジア中を必死に探す。


本作を通じて、香港ならではの事情を知ることができました。
1960年代、政情不安から、上海から縫製工場の経営者たちが台湾経由香港へ。エドウィン・ケー氏も上海から来た家系。当時30社以上あった縫製工場は、すべて上海出身者の経営。今は本土のほうがコストが安いため、ほとんどが閉鎖したと語っていました。
サラ・ガーナーは、成長の早い子供がすぐに同じ服を着られなくなるという母親としての経験から起業。ところが、中華圏では伝統的に古着は好まれないことを知ります。「Retykle」で働く香港人の女性が、「中国人は、前の持ち主の不運を引き継ぎたくないから」と理由を明かしてくれます。新世代はエコ意識が強く、偏見もなくなってきているとのこと。
成長の止まった私たち大人は、使い捨てにするファストファッションでなく、多少高くても良質の衣服を大切に何年も着たいものだと思いました。
そして、ペットボトル。便利ですが、回収するにも莫大な費用がかかることに驚かされます。日本では少なくとも回収ボックスや地域での回収システムは整備されていますが、香港では高齢者の廃品回収を営む人たちに委ねられているとのこと。さらに香港ではリサイクルできないので、運搬費をかけて外国に持っていかなければならないことに驚きました。
持ってこられた国にも処理しなければいけないペットボトルがあるはず。世界中の膨大なペットボトルの量を思うと、便利だけど作られるべきでなかったと!

なお、本作はジョアンナ・バウワーズ監督はじめ、撮影クルーのほとんどが女性。
作り手の環境問題への意識の高さを感じさせてくれる作品です。(咲)


2021年/香港/84分/英語・北京語・広東語
配給・宣伝:アップリンク
©CHEEKY MONKEY PRODUCTIONS ASIA LTD 2021
公式サイト:https://www.uplink.co.jp/refashioned/

エシカル・ライフ・シネマ特集『ミート・ザ・フューチャー~培養肉で変わる未来の食卓~』『リファッション~アップサイクルでよみがえる服たち~』
★2023年6月9日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺で公開



posted by sakiko at 13:29| Comment(0) | 香港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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