監督:バフティヤル・フドイナザーロフ
出演:パウリ―ナ・ガルヴェス、ダレル・マジダフ
銃撃音のする中で賭け事をする男たち。
負けが続くドナイは、最後に借金までして、全財産を賭けてもう一勝負するが、イブラヒムに負けてしまう。
ドナイが家に帰ると、モスクワから娘のミラが帰ってきていた。「休暇?」と聞くと、「パパと暮らしてもいい」という。
イブラヒムがドナイの家にやってくる。全財産を取ろうとやってきたのだが、大したものがないと娘のミナを人質に取って帰る。
イブラヒムの息子ダレルが一緒に逃げようとミラを丘の上に連れていく。
ダレルはロープウェイ(ゴンドラ)の操縦士。
難民になって3か月という女性とゴンドラに乗る。
話しかけてくるが答えられない。「タジク語がわからないの?」と女性。
ゴンドラにザクロやお肉にチャイを持ち込み食事するダレルとミラ。
「君が僕に従うなら賭博はやめてもいい」というダレル。少し年上のミナにダレルはすっかり夢中だ。
ミラはダレルを振って家に帰るが、父から出て行ってくれと言われる。
ダレルの家を訪ねあてると、ダレルの母から、「あの子は父親と一緒で、ふらふらしてる」と言われる。

ゴンドラの操縦室で、ダレルとザクロの実をむいているところに、ミラの父がやってくる。
金をダレルに渡して、「ここには何もない。二人で町を出ろ」という。
その後、ゴンドラの中で倒れるミナの父。
「私は父を看取るために、この街に来た」というミラに、「ある男に出会うために来たんだ」とダレルの父。
車で去るミラを、自転車で追うダレル・・・
「ドウシャンベ。気温14~18度。この日、戦闘なし」
「ミラは俺のもの。東洋では、女は男に従うもの」と、ダレルはいうのですが、どうみても、モスクワで教育を受けたらしいミラのほうが格が上。そんなことはお構いなしに、ミラに惚れ込むダレルの姿が純情で可笑しくも思えました。
撮影中に勃発した内戦も、しっかり背景に入れ込んだ作品。
1994年8月に日本で初公開された折に観ているのですが、覚えていたのは、ゴンドラが動く背景で流れた曲の歌詞が、タジク語の数字(ペルシア語とほぼ同じ)をずっと言っていたこと位でした。
冒頭に「愛する女性たちに捧ぐ」とあり、賭け事に明け暮れる男たちと違って、しっかりと生きる女性たちの姿が眩しいです。
なお、タイトルの「コシュ・バ・コシュ」は、タジク語の俗語で、ゲームをしたときの勝ち負けなしという意味とのことです。(咲)
1993年/タジキスタン/96分/カラー/1:1.66/モノラル
再発見!フドイナザーロフ ゆかいで切ない夢の旅
公式サイト https://khudojnazarov.com/
主催・配給:ユーロスペース、トレノバ
★2023年6月3日(土)よりユーロスペースほか全国順次開催