2023年05月20日

ぼくたちの哲学教室(原題:Young Plato)

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監督:ナーサ・ニ・キアナン、デクラン・マッグラ
撮影:ナーサ・ニ・キアナン
音楽:デヴィッド・ポルトロック
出演:ケヴィン・マカリーヴィー、ジャン・マリー・リール

北アイルランド、ベルファストにはプロテスタント地区とカトリック地区を隔てる分離壁(通称:平和の壁)がある。その周辺では時折衝突が起こる。北アイルランドの宗派闘争の傷跡が街にも人の心にも残り、犯罪や自殺率の高い地域だ。地域の発展も遅れている。そのアードイン地区のホーリークロス男子小学校には、4歳から11歳までの子どもたちが通う。女子の通う小学校は別で、2001年にホーリークロス女子小学校の子どもたちが地元のロイヤリストに通学路で脅迫される事件が起き、世界中のニュースになった。
男子小学校のケヴィン校長は、激動の時代に自分の拳で生き延びてきた。今は副校長やほかの教師たちと共に地域の向上に全力を注いでいる。「やられたらやりかえせ」と父親に言われた生徒には「親も間違うこともある、自分の頭で考えてみよう」という。

エルヴィス・プレスリーの大ファンのケヴィン校長は、車にも校長室にもエルヴィスのフィギュアや写真を飾っています。とてもお茶目でキュートな校長先生です。かつての自分を反省し、自分の頭で考えるために「哲学」を主要科目にあげ、自ら担当しました。生徒たちが“感情をコントロールし、抵抗する力”を身につけられるのに役立つと信じ、根気強く話し合いをくりかえします。日々おきてしまう生徒たちの諍いの場では、どんな意見も大切とすくいあげ、どの子も自分の意見を言える場を作ります。「相手の意見を尊重して違いを知り、考える。互いに考えることで、自分が変わることもある」子どもも哲学者なのでした。
公立学校だからか、男女別なのが惜しいです。男女一緒に学べば、互いの違いも知り、話し合いがもっと深まるでしょうに。(白)


「哲学」というと、難しそうな気がします。
「同じものを観ても、人によって受け止め方が違う」
「人の意見に耳を傾けよう」
「絶対正しい意見はない」
ケヴィン校長がおっしゃることを聞けば、な~んだ、哲学って難しくないんだとホッとします。
物事を柔軟に考えて、人と衝突しない処世術を身に着けるために学ぶのが哲学でしょうか・・・  こんな先生に子どもたちが出会ってほしい! (咲)


2021年/アイルランド・イギリス・ベルギー・フランス合作/カラー/シネスコ/102分
配給:doodler
(C)Soilsiu Films, Aisling Productions, Clin d'oeil films, Zadig Pro
https://youngplato.jp/
★2023年5月27日(土)ユーロスペースほか全国順次ロードショー

posted by shiraishi at 08:20| Comment(0) | アイルランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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