2023年05月13日
ソフト/クワイエット 原題:soft&quiet
監督・脚本:ベス・デ・アラウージョ(長編デビュー)
出演:ステファニー・エステス、オリヴィア・ルッカルディ、エレノア・ピエンタ、メリッサ・パウロ、シシー・リー、ジョン・ビーバース
郊外の町で幼稚園の教師をしている金髪ですらりとしたエミリー。午後、仕事を終え、手作りのパイを持って森の中の教会に行く。白人至上主義の女性たちに声をかけ、「アーリア人団結をめざす娘たち」というグループの発会式を行うためだった。6人が集まり、和気あいあいと話がはずむ。
「コロンビアの女性が私をさしぬいて昇進した。白人への逆差別」というマージョリー。
「ユダヤ系の銀行に融資を断られた」と食料品店の店主キム。
「父が秘密結社KKK(クー・クラックス・クラン)の支部長だった」というジェシカ。
「白人が築いてきた繁栄を多民族が恩恵を受けている」「マスコミをユダヤから取り戻さないと」等々・・・ すっかり意気投合するが、彼女たちの会話を耳にした神父から「面倒は御免だ。出て行ってくれ」と言われる。「二次会は我が家で」とエミリーが誘い、途中でワインを取りにキムの店に寄る。そこへ閉店中と知らないアジア系の姉妹アンとリリーがやってくる。エミリーは、彼女たちと訳アリの仲。激しい口論になる。腹の虫が治まらないエミリーたちは、悪戯半分で姉妹の家の留守を狙って荒らしに行く。そこへ姉妹が帰ってきてしまう。それは、おぞましい結末を招いてしまう・・・
冒頭、幼稚園で息子を迎えに来た母親に「迷惑な清掃員のせいで息子さんが転びそうになった」と伝えるエミリー。清掃員の女性は、特に何かしたわけではないのに、肌の色が違うだけで、そんな風に言われてしまうのです。登場する白人女性たちの言葉の端々から、あまり教養があるとは思えません。押し入ったアジア系の姉妹の家は、家電なども整っていて、それを盗んで帰ろうとすることから、貧困層の白人なのも伺えます。ここまで極端に白人たちを描いた意図が気になりました。
ベス・デ・アラウージョ監督は、母親は中国系アメリカ人で、父親はブラジル出身。自身が経験してきたことも反映されているようです。
☆公式サイトにある監督メッセージをぜひお読みください。
https://soft-quiet.com/#director
思えば、私たちは、「他者」を見た目や、意見が違うだけで偏見を持ってしまうことがあると思います。そういったことへの戒めとも思える映画ですが、それにしても強烈! (咲)
2022年/アメリカ/英語/92分/16:9/5.1ch/G
日本語字幕:永井歌子
提供:ニューセレクト 配給:アルバトロス・フィルム
公式サイト:https://soft-quiet.com/
★2023年5月19日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
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