2023年04月30日
それでも私は生きていく 原題:Un beau Matin 英題:One Fine Morning
監督・脚本:ミア・ハンセン=ラブ
出演:レア・セドゥ、パスカル・グレゴリー、メルヴィル・プポー、ニコール・ガルシア、カミーユ・ルバン・マルタン
サンドラ(レア・セドゥ)は、5年前に夫を亡くし、通訳の仕事をしながら8歳の娘リン(カミーユ・ルバン・マルタン)を育てている。忙しい合間を縫って、ひとり暮らしをしている年老いた父ゲオルグ(パスカル・グレゴリー)の様子をみにいく。かつて哲学の教師をしていた父だが、目が見えにくくなり、記憶もあやふやになっていて、施設に入れることを考えないといけない状況だ。気持ちが折れそうになっていた矢先、リンを迎えに行った学校で、亡き夫の友人クレマン(メルヴィル・プポー)と再会する。息子がリンと同じ学校なのだ。ある日、宇宙科学者であるクレマンの研究室を訪ね、思わずキスしてしまう・・・
『未来よ こんにちは』(16)で、第66回ベルリン国際映画祭 銀熊(監督)賞を受賞したフランスのミア・ハンセン=ラブ監督の8作目。第75回カンヌ国際映画祭でヨーロッパ・シネマ・レーベルを受賞しています。
監督自身の父親を介護した経験をもとに描いた物語。父をなんとかしなければいけないという大変な矢先に、旧友と再会し、恋に落ちてしまいます。でも、相手にはうまくいってないとはいえ妻がいて、彼もサンドラが好きなのに、妻子に悪いと思って別れてしまうのです。父のことで落ち込んでいるのに、さらに気が滅入るサンドラの気持ちを思うといたたまれません。
かたや、父は20年前に離婚しているのですが、レイラという愛人がいて、ワケあって一緒に暮らしていないのですが、レイラが来ると元気になります。(どんな時にも恋に生きるのが、やっぱりおフランスだなぁ~!)
ちなみにレイラを演じたフェイリア・ドゥリバ(Fejria Deliba)は、アルジェリア系のフランス人。『D'une pierre deux coups』(2016年)という監督作もあります。
父を施設に入れたあと、家の整理をしていて、父が書いていた自伝の原稿が見つかります。そのタイトルが「ある晴れた朝」。この映画の原題はそこからもきているのでしょう。
それにしても、哲学の教師をしていた父親の家に本がいっぱいあることや、自伝を書いていたことなど、去年8月に99歳で亡くなった私の父のことを思い出さずにはいられませんでした。腰が痛いと言っていて、そろそろ施設を探さないといけないとおぼろげに思っていた矢先に自宅で亡くなったので、そういう意味では手間がかかりませんでした。私の父も研究者だったので、本がたくさん! ほぼ書き上げた自伝も遺されていて、本と自伝をどうするかが、もっぱらの悩みなのです。残念ながら色恋とは無縁なのが、この映画と違うところ! (咲)
2022年/フランス/ 112分/カラー/ビスタ/5.1ch/
日本語字幕:手束紀子
配給:アンプラグド
公式サイト:https://unpfilm.com/soredemo/
★2023年5月5日(金・祝)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
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