2023年04月30日

ハマのドン

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監督:松原文枝
プロデューサー:江口英明、雪竹弘一
ナレーション:リリー・フランキー
出演:藤木幸夫

カジノ誘致でゆれた横浜市。2019年8月、“ハマのドン”こと藤木幸夫氏が横浜港をめぐるカジノ阻止に向けて立ち上がった。御年91歳。地元政財界に顔が効き、歴代総理経験者や自民党幹部との人脈、田岡一雄・山口組三代目組長ともつながりがあり、隠然たる政治力を持つとされる保守の重鎮だ。

カジノが含まれる「IR(統合型リゾート施設)」には利権が大きく絡んできます。娯楽とはいえカジノはギャンブル依存症を生み出し、はては家族や人生をも破綻させる恐れがあります。「私は自民党員ですが反対です」と藤木氏。父からハマの港湾事業を受け継ぎ、現在は横浜港ハーバーリゾート協会会長。市民は「この街を守ろう」と、住民投票を求める署名を法定数の3倍も集めました。しかし、市議会では否決。次に両者が手を結んで臨んだのが、横浜市長選でした。ニュースでご存じのとおり「IR反対」を掲げた山中候補の支援に力を注ぎます。国策であっても、こうやって覆すことができるんだ、と力づけられました。(白)

「港で博打はやらせない!」と力強く語る藤木さん。
横浜大空襲を生き延び、戦後、日雇いの港湾労働者たちの間で博打が当たり前だった時代を知る藤木さんだからこその言葉。
戦後、町にたむろする少年たちを集めて野球チーム「レディアンツ」を結成した繋がりも、市民運動の土台になっています。また、立ち上げた「横浜エフエム」では、消費者金融のCMは流さないという徹底ぶり。

本作の中で興味深かったのが、ニューヨーク在住で、米国で25か所のカジノルームの設計や内装などを手掛けけてきた建築デザイナーの村尾武洋さんの話。IR誘致反対を表明した藤木さんの会見をYouTubeで見て、「藤木会長に一言伝えたい」と連絡されたのです。
レストランに繋がる導線を考え、外に行かせない工夫を凝らした設計、シャンデリアに隠したカメラで監視し、勝ち続けている客に声をかけるタイミングを計る仕組みなど、カジノ側が儲かるようになっていることを強調されました。

冒頭と最後に、IR誘致予定地だった山下埠頭が空から映し出されます。ベイブリッジや、山下公園、みなとみらい・・・ IRなどなくても魅力的な横浜です。
市民の力で、IR誘致反対の市長が誕生したことは、これからの日本の政治を市民が動かすことができることを証明してくれました。(咲)




2023年/日本/カラー/DCP/100分
配給:太秦
(C)テレビ朝日
http://hama-don.jp/
★2023年5月5日(金)新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 00:05| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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