2023年04月22日

せかいのおきく

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監督・脚本:阪本順治
企画・プロデューサー・美術:原田満生
撮影:笠松則通
音楽:安川午朗
出演:黒木華(松村きく)、寛一郎(中次)、池松壮亮(矢亮)、眞木蔵人(孝順)、佐藤浩市(松村源兵衛)、石橋蓮司(孫七)

江戸時代末期。下肥汲みの矢亮(やすけ)と中次(ちゅうじ)は江戸の長屋を回り、川船で契約した農家へ運ぶ。厠のひさしで雨宿りをして、長屋に住むおきくと一緒になった。おきくは浪人の父親と二人暮らし、寺子屋で子どもたちに読み書きを教えている。大雨の後、流れ込んだ水で厠があふれてしまい、矢亮と中次はてんてこまい。普段臭い、汚いと蔑まれている汚穢屋(おわいや)の青年たちだが、いなくては困るのだ。
ある日、おきくの父源兵衛が何者かに討たれ、おきくも喉を切られる。命は取りとめたが、声を失ってしまった。

社会の底辺で生きる人々の暮らしを阪本順治監督が活写。白黒なのは汚穢屋(おわいや)さんの話だから?と勘ぐってしまうほど、汚水や貧乏長屋がアップになろうが画面は美しいです。鎖国を続けていた江戸時代、輸出入なしで自分たちの食べ物をなんとかしなければなりませんでした。農耕民族は田畑からより多く収穫するため、人糞を肥料にしてとってもエコな循環型社会を作っていたのです。この映画の始まりもそんなところから。
以前外国のドキュメンタリー『ウンチク うんこが地球を救う』がありました。今や水洗トイレが普及した日本では、目の前からなくなればその後どうなっているのか、想像もしないでしょう。貴重な資源を無駄にしないことをまた考えたほうがいいようです。
声を失うおきくを演じる黒木華さん、貧しくとも真摯に生きる寛一郎さん、池松壮亮さんが光っていた作品。(白)


2023年/日本/モノクロ/シネスコ/89分
配給:東京テアトル、U-NEXT、リトルモア
(C)2023 FANTASIA
http://sekainookiku.jp/
★2023年4月28日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 21:15| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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