(C)LES FILMS DU FLEUVE - ARCHIPEL 35 - SAVAGE FILM - FRANCE 2 CINEMA - VOO et Be tv - PROXIMUS - RTBF(Television belge)
監督・脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出演:パブロ・シルズ、ジョエリー・ムブンドゥ、アウバン・ウカイ、ティヒメン・フーファールツ、シャルロット・デ・ブライネ、ナデージュ・エドラオゴ、マルク・ジンガ
カメルーン出身の10代の少女ロキタと、ベナン出身のまだ幼い少年トリ。ふたりはアフリカからベルギーにたどり着く途中で出会い、お互いを本当の姉弟のように思って支えあっている。すでにビザが発行されたトリの姉と偽り、ロキタはビザを取得しようとしている。だが、ビザ取得のための面接でうまく答えられずパニック障害を起こしてしまう。
トリとロキタはイタリア料理店でカラオケを歌って小銭を稼いでいるが、実はシェフのベティムが仕切るドラッグの運び屋が裏の仕事。さらに、偽造ビザと引き換えに、ロキタはベティムが提案する孤独で危険な仕事を引き受ける。姉同様のロキタと引き裂かれたトリは、なんとかロキタの居場所を探し出す・・・
世界には、様々な事情で生まれた国を出ざるを得ない人たちが後を絶ちません。トリやロキタのように、未成年なのに親兄弟とも離れて、ヨーロッパにたどり着く者も多々。どれほど孤独で不安な思いを抱えていることでしょう。そんな人たちにつけ込む密入国手配師や、闇の仕事をさせる者たち。人間の尊厳をないがしろにされながら、故国に残る家族に送金しようと過酷な仕事に耐えるロキタ。異国で知り合い本当の姉のようにロキタを慕うトリ。純粋な心を失わない二人の姿に胸がしめつけられる思いでした。
世界の皆が平穏に暮らせる時代はいつになったら来るのでしょう… (咲)
ベナンもカメルーンもアフリカの西側海沿いにある国です。どちらも海外へ人が違法に出て行くほど、経済的に恵まれません。両国はフランス語が公用語(ということはかつてフランス領だった?)で、二人はベルギーでもなんとか会話できるようです。ロキタとトリの事情は、詳しくは語られませんが、たぶんロキタとトリと似たような子どもたちが世界各国にいるのでしょう。
89分と最近では短めの作品です。その中で外国で生きることの厳しさ、助け合う二人の深い絆を十分に描いています。知られた子役でなく、無名の新人の出演にドキュメンタリーのような生々しさがありました。
ロキタを救うために、アクションヒーローばりの活躍をするトリにハラハラしました。(白)
第75回カンヌ国際映画祭 75周年記念大賞受賞
2022年/ベルギー、フランス/89分
日本語字幕:横井和子
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:https://bitters.co.jp/tori_lokita/
★2023年3月31日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほか全国順次公開