2023年03月11日
コンペティション 原題:Competencia oficial
監督:ガストン・ドゥプラット、マリアノ・コーン
出演:ペネロペ・クルス、アントニオ・バンデラス、オスカル・マルティネス
製薬業界のトップで大富豪のウンベルト(ホセ・ルイス・ゴメス)は80歳の誕生日を迎え、社会貢献として後世に残るような映画を作ろうと思いつく。大枚はたいてベストセラー小説の映画化権を得て、監督に映画賞を多数受賞している女性監督(ペネロペ・クルス)を起用するが、開口一番、「原作通りには映画化しない」と言われる。兄弟の確執を描いた物語で、兄役に世界的スターのフェリックス(アントニオ・バンデラス)、弟役に老練な舞台俳優イバン(オスカル・マルティネス)を起用。さっそく台詞の読み合わせを始めるが、個性的すぎる3人はしょっちゅうぶつかってしまう。果たして、映画は無事完成するのか・・・
ペネロペ・クルスが変わり者の天才女性監督という役どころを楽しそうに演じて、はじけっぷりに笑わせられます。台本の読み合わせが始まるなり、「ブエノス ノーチェス(こんばんは)」の抑揚がそうじゃないと何度も言わせたり、「うまく泣くより真実味を出して」など、ペネロペが女優としてこれまでに接した監督を投影した場面もあるのではないでしょうか。
リハも進み、イバンが「アカデミー賞も見えてきた」というのに対し、フェリックスは「ばかげた賞。白人中心のエンタメ業界に色を添えるラテン人になれと?」と返します。そう語るのが、ハリウッドを始め国際的に活躍しカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞したスペイン人俳優のアントニオ・バンデラスというのが皮肉です。老練な舞台俳優イバンを演じたオスカル・マルティネスは、『笑う故郷』でベネチア国際映画祭最優秀男優賞を受賞したアルゼンチンの大御所俳優。本作の中では、「スペインに20年もいるのに、まだアルゼンチン訛り」と指摘されるところがあって、彼のスペイン語はアルゼンチン訛りなのだと。(私には違いはわかりません・・・)
映画製作の現場もいろいろあると思いますが、案外、こんな感じかも。ハプニングがあれこれ起こるのも含めて!
それにしても、金儲けばかりで尊敬されてないと感じている大富豪が、映画製作で社会貢献という発想。 どんな映画が出来上がったのやらですが、ここで描かれてたような製作過程では、さてはてです。(咲)
2021年/スペイン・アルゼンチン/スペイン語/114分/カラー/スコープ/5.1ch/
字幕翻訳:稲田嵯裕里
配給:ショウゲート
公式サイト:https://competition-movie.jp/index.html
★2023年3月17日(金)にヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開
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