シアター・イメージフォーラム(渋谷)にて2023年3月25日(SAT) 。
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写真家瀬戸正人のルーツをたどる
監督・脚本・撮影:小林紀晴
音楽:いろのみ
編集:上野一郎
撮影:尾崎聖也、今井知佑
出演:瀬戸正人、尾方聖夜
ナレーション:鶴田真由、こしみずよしき
原作:瀬戸正人『トオイと正人』(朝日新聞社1998刊)
タイで生まれ、タイ語しか喋れなかった少年トオイ
旧残留日本兵だった父と、ベトナム系タイ人の母との間に、タイで生まれた「トオイ」は、8歳の時に日本に渡り、「正人」という名になり、父の故郷福島で育った。タイ語しか話せなかったトオイだったが、日本人として生きるうち、いつの間にかタイ語を話すことができなくなっていた。
やがて写真家となった瀬戸正人は、28歳の時、バンコクへ。そして生まれ故郷のウドーンタニへ旅に出て、かつての記憶を探る。タイ、ラオス、福島でロケを敢行。「正人」のなかに眠っていた「トオイ」が、静かに目を覚ます。さらに父の記憶を追ってメコン川を渡る。
「タイで生まれ、タイで育ち、タイ語をしゃべっていた。でも何も覚えていない…」そんな瀬戸正人の「トオイ」を探す旅。メコン川と阿武隈川を遡る旅に出て、記憶をたどる。
瀬戸正人の自伝「トオイと正人」(1998年)を、写真家&作家としても活躍する小林紀晴が初監督作として映画化した。20年ほど前に手にしたときから、いつかこの物語を映画にしたいと考えていたという。
福島県出身の父・武治さんは昭和17年に出征。中国、ベトナムを経て、ラオスで終戦をむかえ、帰国の道を選ばず残留日本兵となったそうです。数年後、メコン川を渡り、タイのウドーンタニという町でベトナム人になりすまし生活を始め、やがてベトナム系タイ人の女性と結婚。「トオイ」が生まれる。そして武治は現地で写真館を始めた。手先が器用で、修正などが得意だったという。
その後、状況が変わり、葛藤の末に日本大使館にみずから残留日本兵であることを名乗り出て、日本への帰国の道を選び、「トオイ」は8歳の時に、武治の帰国にあわせて日本へ渡ったそうです。
故郷、福島県で武治は写真館を再建。20歳になった「正人」は稼業である写真館を継ぐため、東京の写真専門学校へ進学。そこで出会ったのが写真家森山大道。家業を継がずに写真家を目指すことに。写真家東松照明の写真集『太陽の鉛筆』で、南シナ海とインドシナ半島の地図が広がっているのを見て、 28歳のとき、バンコクへ、そしてウドーンタニへと旅に出たそうです。
私は、瀬戸正人さんの写真はアジアの街中を写した写真が多いなと思っていたのですが、タイ生まれというのは、この映画で知りました。そういう事情でアジアに向かっていたというのも、今回初めて知りました。同年代で、学んだ写真学校も同じだったのですが、私は夜間だし、就職してだいぶたってから写真学校に行ったので、同時期に在学はしていないですが、この映画を観て感慨深かったです。瀬戸正人さんのお父さんの波乱万丈の生涯もぜひ観てみたいと思いました(暁)。
『トオイと正人』HPはこちら
2023年/ カラー/ 63分/16:9/
製作・配給:Days Photo Film
配給協力・宣伝:プレイムタイム
企画協力:プレイスMほか
2023年03月05日
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