2023年02月26日

エッフェル塔〜創造者の愛〜   原題:EIFFEL

Eiffel.jpg
© 2021 VVZ Production – Pathé Films – Constantin Film Produktion – M6 Films

監督:マルタン・ブルブロン
原案:カロリーヌ・ボングラン
脚本:カロリーヌ・ボングラン、トマ・ビデガン、マルタン・ブルブロン、ナタリー・カルテ、マルタン・ブロスレ
出演:ロマン・デュリス、エマ・マッキー、ピエール・ドゥラドンシャン、アレクサンドル・スタイガー、アルマンド・ブーランジェ、ブルーノ・ラファエリ

花のパリのシンボル、エッフェル塔完成に秘められた壮大な愛の物語

1886年9月、フランス。 3年後に開催される「パリ万国博覧会」のシンボルとなるモニュメントのコンクールを控え、誰が何を作るかの話題で沸いていた。アメリカの自由の女神像制作に協力し、名声を得ていた建築家ギュスターヴ・エッフェル(ロマン・デュリス)は、パーティーの席で大臣から「戦争に敗れた今、自由の女神のようなシンボルが必要だ」とコンクールへの参加を要請されるが、興味がないと答える。その場にいた友人で記者のアントワーヌ・ド・レスタック(ピエール・ドゥラドン シャン)の妻・アドリエンヌ(エマ・マッキー)から、「大臣と同感です。あなたの野心作をぜひ見てみたい」と言われたエッフェルは、突然「ブルジョアも労働者も皆が楽しめる300mの鉄塔を造る」と宣言する。
関心のなかったコンクールへの参加を急に決意したのには、ワケがあった。 今は友人の妻となっているアドリエンヌとは、恋仲だったことがあるのだ。1860年、ボルドーで鉄橋建設の指揮をとるために滞在した折に知り合ったのが、地元有力者の娘であるアドリエンヌだった。労働者階級と上流階級という身分の違いを越えて、結婚も誓い合う仲になったが、結局別れざるをえなかったのだ。コンクールで勝利を得たエッフェルは、かつてのアドリエンヌへの熱い思いを胸に、鉄塔の建設に取りかかる。だが、倒壊を恐れる周辺住民からの苦情や、バチカン教皇から「ノートルダム大聖堂より高いのは侮辱」、芸術家たちからは醜悪だとの抗議文が届き、早くも建設事業は暗礁に乗り上げる・・・

色々な困難を乗り越えながら、パリの街に鉄塔が少しずつ高く伸びていく様を見守りました。今や、パリになくてはならないエッフェル塔ですが、建設当時には、反対もあったことを知りました。
私の都内別宅は、スカイツリーから500mのところにあります。建設前に「近くに放送用の鉄塔が建設されることについて、どう思いますか?」のアンケートが来たのを思い出しました。 忘れたころに、ある日、駅を降りたら、鉄塔が見える高さにまで伸びていて驚き、その日以降、徐々に高くなっていくのを見守ったのでした。

本作は、エッフェル塔の建設を背景にした壮大なラブストーリー。
実は、建築家ギュスターヴ・エッフェルの私生活については、はっきりとした記録はないとのこと。
監督たちが調査して判明したのは下記の史実。
・ボルドーのサン・ジャン橋建設に従事していた当時28歳のエッフェルが、18歳のアドリエンヌと恋に落ち、結婚が発表されたが、アドリエンヌの両親によって取り消された。
・1889年パリ万国博覧会に向けて、エッフェルのエンジニアチームが提案してきた鉄塔プロジェクトを引き受けることをかたくなに拒んだ。それにも関わらず、急に考えを変え、300メートルの鉄塔建設を請け負う。自身の資産を抵当に入れてまで。


映画の冒頭に、「史実をもとに自由に作った」と掲げられています。
ロマン・デュリスが、建築にも恋にも熱い思いをかけたであろうエッフェルを演じて、監督たち製作陣が思い描いた建築家の人生を際立たせています。

フランス映画祭2022 横浜のオープニング作品として『EIFFEL(原題)』のタイトルで上映され、マルタン・ブルブロン監督とロマン・デュリスが来日。 オープニングセレモニーのあと、横浜みなとみらいホールだけでなく、近くのパシフィコ横浜 国際交流ゾーン プラザ広場に設置されたドライブインシアターでも上映され、舞台挨拶が行われました。
フランス映画祭 祝! 30回! 3年ぶりにゲストを迎えた盛大なオープニング
effel.jpg
(左:ロマン・デュリス 右:マルタン・ブルブロン監督 撮影:景山咲子)
「エッフェル塔や世界中の橋を作り、カリスマ的な人物だけど、監督から自由に演じていいよ、人間的な部分も出していいよと言われました」とロマン・デュリスが語ったとおり、自由にギュスターヴ・エッフェルの人物像に迫った作品をどうぞお楽しみください。(咲)



2021 年/フランス・ドイツ・ベルギー/フランス語/108 分/カラー/5.1ch/ドルビーデジタル/シネスコ/R15
字幕翻訳:橋本裕充
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ
公式サイト:https://eiffel-movie.jp/
★2023 年3 月 3 日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開



posted by sakiko at 14:32| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください