2023年02月25日

Winny

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監督:松本優作
原案:渡辺淳基
脚本:松本優作、岸建太朗
撮影:岸建太朗
音楽:Teje 田井千里
出演:東出昌大(金子勇)、三浦貴大(壇俊光)、吉岡秀隆(仙波敏郎)、渡辺いっけい(北村文哉)、吹越満(秋田真志)、吉田羊(金子勇の姉)

殺人に使われた包丁をつくった職人は逮捕されるのか——。
技術者の未来と権利を守るため、
権力やメディアと戦った男たちの真実の物語。

2002年、開発者・金子勇は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発、試用版を「2ちゃんねる」に公開する。彗星のごとく現れた「Winny」は、本人同士が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく。しかし、その裏で大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする若者も続出、次第に社会問題へ発展していく。
次々に違法コピーした者たちが逮捕されていく中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕されてしまう。サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光は、「開発者が逮捕されたら弁護します」と話していた矢先だった。金子氏逮捕の報道を受けて、急遽弁護を引き受けることになり、弁護団を結成。金子と共に裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第一審では有罪判決を下されてしまう…。しかし、運命の糸が交差し、世界をも揺るがす事件へと発展する——。

上は公式HPにあるストーリーです。続く「なぜ、一人の天才開発者が日本の国家組織に潰されてしまったのか」は誰もが抱く疑問です。ほかの国では、いち早く新しい技術を開発し、発表した人は億万長者になっているのに。
逮捕された後に、金子氏が「あと2行足すだけでいいんです!」とプログラムの脆弱を補完したいと繰り返します。なぜそれができなかったのか?この事件で儲かったのは、損したのはどこなのか?誰なのか?と疑問が次々とわいてきます。
金子氏はただただ、プログラム開発が好きで珍しいほど無欲な人。東出昌大さんが好演しています。社会が全く追いついていなくて、世界のトップになれたはずの天才をサポートできませんでした。弁護団は長く彼を支えて共に闘いましたが、金子氏は手足をもぎとられた状態が続きました。失われた日々が返す返すも残念です。
漏洩した内部文書に繋がる証言をするのが、吉岡秀隆さん演じる実直な警察官。早くに内部を正そうと声を上げると脅しやいやがらせを受けます。力を得た人こそ、易きに流れないように自制してほしいのに。責任があるから高給取りなのでしょ?不正を隠蔽してきた似たような事件が思い出されます。
ITに明るい人以外、あまり一般には知られなかった顛末を映画でなぞることができました。不本意な人生となってしまった金子氏、その越しかたを知ることで、無念を思い悼む方がいるはず。それはおおいに意味のあることと思いました。(白)


映画の最後に、無罪を勝ち取った時の金子勇さんご本人の語る姿が映し出されます。
「悪用されることを考えると誰も開発できない」「保釈中、親しい人との連絡を禁止されたのが辛かった」という言葉が胸に刺さりました。7年かかった裁判が命を縮めることになってしまったのでしょうか。42歳の若さで心筋梗塞で亡くなられた金子勇さん。 国家は貴重な人材を潰してしまいました。
「2ちゃんねる Winny」で検索してみたら、無罪確定後に金子勇さんが参加したトークの動画が出てきました。「匿名性の高いものは、国によっては発信者を知られると逮捕の危険もある人たちに必要です」という言葉がありました。そこまで考えていらしたのかと! 匿名で利用できるからと悪用する人がいるのも事実で、残念ですが・・。
本作では、弁護団の方たちの言葉も心に残りました。
「警察が逮捕した裏の意図を知ることが必要。敵が尻尾を見せるまで待つんです」
尋問では、「嘘をついた人間に、嘘をつきましたと言わせること」
サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光さんを演じた三浦貴大さんや、証人尋問に長けた秋田真志弁護士を演じた吹越満さんも、熱演でした。(咲)


2023年/日本/カラー/シネスコ/127分
配給:KDDI、ナカチカ
(C)2023映画「Winny」製作委員会
https://winny-movie.com/
★2023年3月10日(金)ロードショー


posted by shiraishi at 14:53| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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