2023年02月12日
呪餐 悪魔の奴隷 原題:Pengabdi Setan 2: Communion 英題:Satan's Slaves:Communion
監督・脚本:ジョコ・アンワル
出演:タラ・バスロ、エンディ・アルフィアン、ネイサー・アヌズ、ブロント・パララエ
1955年4月17日。西ジャワ州レンバン。
車で連行される記者証を持つ男。着いた先には知人の少佐。建物の中をみてほしいという。墓から出された無数の遺体が並んでいる。誰の仕業かわからない。明日はアジアアフリカ会議が開かれる大事な日。警察は呼べない。都市伝説として世に伝えてくれと頼まれる。
1984年4月15日。ジャカルタ。
大学を中退し働くリニは、再び翌日から大学に通えることになる。一緒に暮らしている父や弟二人とは離れて暮らすことになる。
バスに乗り、町はずれの国営アパートに帰る。バスの中で見かけた新聞には「連続殺人鬼に注意」の大きな見出し。数年にわたり2000人も殺している殺人犯が捕まっていないのだ。
4月16日。大嵐到来の予報。
14階建てのアパートのエレベーターで落下事故が起こり、10人が犠牲になる。リニの父は重傷を負うが助かる。嵐が上陸し、アパートの1階が浸水してしまう。孤立してしまい、遺体の埋葬もできない。停電で暗い中、アパートの中を見回るリニたち。事務所で、毎年4月17日に撮影された写真を見つける・・・・
冒頭、建物の中に整然と並べられたたくさんの遺体に、まず度肝を抜かれました。いったい誰の仕業だったのか謎のまま、時は流れます。
本作は、1980 年代にイスラーム圏で最も恐いホラー映画として話題を集めたインドネシア映画『夜霧のジョギジョギモンスター』をリメイクし、2017 年インドネシア映画の観客動員数1位を記録(420 万人)した『悪魔の奴隷』の4 年後が舞台。母と祖母を亡くし、末弟のイアンも行方不明のままジャカルタの北部にある高層アパートに越してきたリ二とその家族の物語。『悪魔の奴隷』を観ていないのですが、本作だけでも充分理解できました。
「ラーイラーハイッラーッラー(アッラーの他に神はなし)」と唱えながら、白い布で亡くなった男性を包む光景に興味津々。暗い中、電灯を持って見回ると、クルアーンの一節を唱えながらご遺体のそばで悼む姿も。これは不気味といっては失礼になりますが、ちょっとぞくっとしてしまいます。
西ジャワ州レンバンってどこ?と地図で検索してみました。
1955年4月18日に第一回アジアアフリカ会議(通称バンドン会議)が開催されたバンドンのすぐ近くの高地でした。
冒頭で連れていかれた建物に見覚えがある・・・と思ったのですが、レンバンのボスカ天文台のようです。2018年のイスラーム映画祭3で上映された『イクロ クルアーンと星空』に出てきたものでした。バンドン工科大学のサルマン・モスクが作った映画です。
イスラーム映画祭『イクロ クルアーンと星空』突然の主演女優登壇にびっくりの巻(咲)
さて、おぞましい連続殺人事件は、どうやらラミノムというカルト教団と関係があることが明かされていきます。目に見える怖さよりも、人の心をあやつる教団の恐ろしさにぞくっとさせられました。インドネシアらしいムーディな音楽も心に沁みました。ホラー映画と怖がらずに、ぜひご覧ください。(咲)
2022年/インドネシア/インドネシア語/119分/シネスコ/5.1ch
字幕:藤本聡
配給:アルバトロス・フィルム
公式サイト:http://jusan-movie.jp/
★2023年2月17日(金)より、全国ロードショー
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