監督・脚本:外山文治
撮影:野口健司
音楽:朝岡さやか
出演:岡本玲(佐々木マナ)、磯西真喜(松子)、海沼未羽(千佳)、渡辺哲(時岡茂雄)、瀧マキ、岬ミレホ
妻に先立たれ孤独に暮らす男、時岡茂雄がある日ふと目にしたのは、新聞の三行広告に小さく書かれた「茶飲友達、募集」の文字。
その正体は、高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」だった。運営するのは、代表の佐々木マナとごく普通の若者たち。彼らは65歳以上の「ティー・ガールズ」と名付けられたコールガールたちに仕事を斡旋し、ホテルへの送迎と集金を繰り返すビジネスを行なっていた。マナはともに働くティー・ガールズや若者たちを “ファミリー”と呼び、それぞれ孤独や寂しさを抱えて生きる彼らにとって大事な存在となっていた。ある日、一本の電話が鳴る。それは高齢者施設に住む老人から「茶飲友達が欲しい」という救いを求める連絡だったー。
「茶飲友達」という言葉がこんな風に使われていたなんて。外山監督が実際にあった事件(2013年10月に起きた高齢者売春クラブ摘発)を知って、映画化したいと思われたそうです。そのときの登録者は1000人いたのだとか、そんなに需要があって仕事としてなりたっていたんだと想像すると、やっぱり人間いつまでも煩悩はなくならないんだとか、なんだかおかしいような悲しいような、なんとも言えない気持ちになります。
渡辺哲さん演じる時岡さんが、申し込んだ後いそいそと鏡に向かっておしゃれするのを見るとほほえましいし、ガールたちもいろいろ個性的でたくましく屈託なく働いているしで、悲壮感はありません。色恋ばかりでなく、仕事があること、求められることは人を輝かせるんだなと思えます。
一人で生きていくのは寂しいけれど出会いの少ない高齢者に、ほんとの茶飲友達をあっせんするなら法に触れないでしょう。大人なんだからその後は自己責任で、なんて言うと詐欺につけこまれ、家族に疎まれ、といいことはない? 運営する若者たちも事情を抱えていて、世知辛い生きづらい世の中だと溜息が出ます。
監督は1000人の登録者がその後どうしたのか気になったそうです。ガールたちもどうなったのでしょう。(白)
2022年/日本/カラー/135分
配給:イーチタイム
(C)2022茶飲友達フィルムパートナーズ
http://teafriend.jp/
★2023年2月4日(金)渋谷ユーロスペース他全国順次公開
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