監督:河毛俊作
原作:池波正太郎
脚本:大森寿美男
撮影:南野保彦
衣装デザイン:宮本まさ江
音楽:川井憲次
出演:豊川悦司(藤枝梅安)、片岡愛之助(彦次郎)、おもん(菅野美穂)、小野了(与助)、高畑淳子(おせき)、小林薫(津山悦堂)
第1話ゲスト:早乙女太一(石川友五郎)、柳葉敏郎(羽沢の嘉兵衛)、天海祐希(おみの)
品川台町の腕のいい鍼医者藤枝梅安は表の顔、裏にはもう一つ凄腕の”仕掛人”の顔があった。仕掛人は“蔓(つる)”と呼ばれる元締から声を掛けられ、金をもらって指定された人間を始末する。元締めは、誰の仕掛も請け負うわけではなく、生かして世のためにならない者だけを選ぶ。”起こり”と呼ばれる依頼人のことは梅安に一切耳に入れず、仕掛人は半金を先にもらい、ことが済んでから残りを手に入れる。自然死に見える梅安の仕掛は重宝だった。同じ仕掛人の彦次郎とは一緒に酒は飲むが、互いの過去については詮索しない。
次の仕掛は料理屋万七の女将おみのだった。万七の前の女将おしずは梅安の仕掛で亡くなり、おみのは後添いである。梅安は、万七に出向いて女中のおもんと深い仲になり、店の情報を手に入れる。
池波正太郎生誕100年記念企画。久々に本格時代劇を拝見。原作は1972年~1990年「小説現代」に作者の死去まで続いた連載小説です。テレビで放映されて、仕掛人、仕置き人が大ブームだった記憶があります。視聴者は不満をかこつ江戸の人々に感情移入して、世のため人のためにならない悪人を消し去る鮮やかな手口に溜飲を下げました。この作品も期待を裏切りません。
186㎝もの長身の豊川さん、こんなに大きな人が江戸時代にいたのかなと思いますが、原作も大男とあったような。この作品のゲストの天海祐希さんも170㎝を越えるので、二人が並ぶと華やかです。菅野美穂さん演じるおもんは、相手が本気でないと知りながら「役立ちたい」と思うひたむきさに女心を感じます。
夜や室内のシーンではぜいぜいがろうそくの灯り、殺しの場面も当然ある暗めの作品ですが、唯一底抜けに明るいのが、梅安の身の回りの世話をする近所のおせき。朝ドラでも肝っ玉ばあちゃんを好演している高畑淳子さんが、ここでも頼りになるおばちゃん役。おしゃべり多いですが、笑わせてくれます。仲は良いけど互いに踏み込まない、彦次郎役の愛之助さんとのかけあいも良く、彦次郎の因縁の過去が明らかになる第2話が待たれます。第2話は4月7日公開。(白)
2023年/日本/カラー/シネスコ/134分
配給:イオンエンターテイメント
(C)「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社
https://baian-movie.com/
★2023年2月3日(金)ロードショー
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