監督:宮平貴子(『アンを探して』)
プロデューサー:大野順美、横澤匡広
「組踊」は、琉球王国時代の1719年に躍奉行・玉城朝薫が創始した、琉球独自の歌舞劇。
琉球の伝説を元に琉球舞踊や琉球古典音楽を基礎とし、日本や中国の芸能に影響を受けながら発展した。沖縄が本土復帰した1972年5月15日には国の重要無形文化財に指定され、2010年にはユネスコ無形文化遺産リストに登録された。
「シネマ組踊」は、約300年間受け継がれてきた「組踊」の歴史や特徴をわかりやすく伝えると共に、玉城朝薫の代表的な五作品(朝薫五番)の中から、「孝行の巻」の上演を取り上げ、役者の繊細な表情、緊迫感溢れる演奏者の音楽、流麗なセリフ回しなど、組踊の魅力を余すところなく伝えるプロジェクト。
*孝行の巻 物語*
屋良ムルチという池に住む大蛇が田畑を荒らしていた。占いで14~15歳の子を供えれば鎮まると出て、国王は「生贄になる家族には生活を保障する」とお触れを出す。父が亡くなり母を支えながら貧しく暮らす姉弟。お触れをみて姉は弟を説得し、自ら生贄になると王府へ申し出る。 生贄の儀式の日、大蛇が出現し娘を飲み込もうとする瞬間…
舞台「孝行の巻」の始まる前に、美しい琉球の着物姿の女性(宮城さつきさん)が、組踊についてわかりやすくその歴史や特徴を説明してくださいます。
組踊はもともと、中国皇帝の使者である冊封使を歓待するためにつくられたので、初めての人にも理解しやすく工夫されたものとのこと。琉球古語で語られますが、本作では、現代口語の字幕が付けられています。やさしい響きの琉球の言葉や、静かな足運び、翻って、大蛇の躍動的な振る舞いを楽しみました。琉球独特の楽器による音楽「歌三線」も心地いいです。楽器を奏でる人たちの服装も独特です。まったりと組踊を味わいました。(咲)
◆1/28(土)上映後 初日舞台挨拶:
宮平貴子監督、大野順美プロデューサー、澤井毎里子(出演者:地謡 笛)
◆1/29(日)上映後 尚玄(俳優)ゲストトーク
2022年/日本/77分/カラー/HD
配給:ククルビジョン、ミカタ・エンタテインメント
公式サイト:https://kukuruvision.com/cinema_kumiodori_koko/
★2023年1月28日(土)から渋谷ユーロスペースにて一週間限定公開
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