2023年01月22日

イニシェリン島の精霊(原題:The Banshees of Inisherin)

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監督・脚本:マーティン・マクドナー
撮影:ベン・デイビス
音楽:カーター・バーウェル
出演:コリン・ファレル(パードリック)、ブレンダン・グリーソン(コルム)、ケリー・コンドン(シボーン)、バリー・コーガン(ドミニク)

1923年、アイルランドの孤島、イニシェリン島。島民全員が顔見知りのこの平和な小さい島で、気のいい男パードリックは長年友情を育んできたはずだった友人コルムに突然の絶縁を告げられる。急な出来事に動揺を隠せないパードリックだったが、理由はわからない。賢明な妹シボーンや風変わりな隣人ドミニクの力も借りて事態を好転させようとするが、ついにコルムから「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と恐ろしい宣言をされる。美しい海と空に囲まれた穏やかなこの島に、死を知らせると言い伝えられる“精霊”が降り立つ。その先には誰もが想像しえなかった衝撃的な結末が待っていた…。

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マクドナー監督とメインキャストのコリン・ファレル、ブレンダン・グリーソンはベルギーを舞台に展開した『ヒットマンズ・レクイエム』(08)以来、14年ぶりの再タッグ。今回マクドナー監督はコメディを作ったらしいのですが、そうわかりやすくありませんでした。イギリスのコメディってダークすぎて今までも笑えなかったのですが、今回も。
一方的に絶縁を告げたコルムが、納得できずに声をかけてくるパードリックに「自分の指を切る」というところで、「???」。男女ならば振られた男か女が「別れるなら死ぬ」と脅かしたり、大切な相手のために自分が引く、となったりかなぁと思いますが、違いました。みんなの関心を集め、引くに引けない2人の行く先は、ここまでやるかというところまで。兄のパードリックを心配する聡明な妹と、横暴な警官と息子ドミニクのドラマもはさみます。
このアイルランドの島からは、遠くない本土での紛争の爆発音が聞こえ、煙も見えています。島の風景の中、透き通った声の民謡らしい歌が流れ、人の営みの悲しさと滑稽さが浮かび上がる余韻の残る作品でした。(白)


☆第80回ゴールデングローブ賞受賞
ミュージカル/コメディ部門 作品賞、主演男優賞(コリン・ファレル)、脚本賞(マーティン・マクドナー)と最多3部門受賞

☆第76回英国アカデミー賞ノミネート
作品賞、英国作品賞、監督賞 マーティン・マクドナー、主演男優賞 コリン・ファレル、助演男優賞 ブレンダン・グリーソン、助演男優賞 バリー・コーガン、助演女優賞 ケリー・コンドン、脚本賞 マーティン・マクドナー、作曲賞 カーター・バーウェル、編集賞 ミッケル・E.G.ニールセンの<主要9部門10ノミネート>

2022年/イギリス・アメリカ・アイルランド合作/カラー/シネスコ/109分
配給:ディズニー
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
https://www.searchlightpictures.jp/movies/bansheesofinisherin
★2023年1月27日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー


posted by shiraishi at 15:31| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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