2023年01月08日

コペンハーゲンに山を  原題:Making a Mountain

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(C)2020 Good Company Pictures


監督:ライケ・セリン・フォクダル、キャスパー・アストラップ・シュローダー
出演:ビャルケ・インゲルス、ウラ・レトガー他

コペンヒル。世界初!スキーが楽しめるゴミ処理発電所の誕生を追ったドキュメンタリー。

2011年、デンマークの首都コペンハーゲンにある老朽化したゴミ処理施設建て替えのコンペ結果発表会が行われた。コンペを満場一致で勝ち抜いたのは、デンマークのスター建築家ビャルケ・インゲルス率いるBIG建築事務所。彼らのアイデアは飛び抜けて奇抜で、巨大なゴミ焼却発電所の屋根にスキー場を併設し、コペンハーゲンに新たなランドマークを作るというもの。しかし、カメラは完成までの過程で、苦難の連続を追うことになる。ゴミ焼却発電所とスキー場はどう建造物として共存出来るのか?次々と疑問や課題が山積みになっていくが、難題を乗り越え2019年10月、コペンハーゲンに新しい“山”が誕生。完成に9年。かかった費用は約5億ユーロ。デンマークの景色を楽しめるこの山「コペンヒル」の標高は85m、全長450mでゲレンデ幅は60m。4つのリフトでスキーが楽しめる。ゴミで再生可能エネルギーを作る最新鋭のゴミ焼却発電所で、年間3万世帯分の電力と7万2000世帯分の暖房用温水を供給する。屋上にはレストランやハイキング・ランニングコース、壁には世界一高い85mのクライミングウォールが設置されている夢のような施設だ。誰もが行きたがらないゴミ処理施設が、誰もが行きたがる夢の施設になったのだ。

ごみ処理施設というと、高い煙突を思い浮かべますが、高くしてもCO2をまき散らすことには変わりないとのこと。ごみ処理施設を覆うようにして、山を作って、その上を娯楽施設にしてしまうというアイディアに、これぞ発想の転換!と唸りました。
建築コンペの審査員たちが満場一致で決めたのも納得です。その建築コンペの発表自体、MCを務める女性CEOが楽しそうに歌って始まるという型破りなものでした。
コペンハーゲンの町というより、デンマーク自体、フラットで山のない国。「皆、同じ高さだと見通しが悪い、映画館などでも傾斜があるのは見やすくする為」と、ごみ処理施設を利用して小高い山を作った理由の一つを語る建築家のビャルケ・インゲルス。
山のなかった町で、ちょっとしたハイキングやスキーもできて、家族ぐるみで楽しめる観光名所にしてしまったのがすごいです。コペンヒルに昇るエレベーターはガラス張りになっていて、ゴミ処理施設の中が見えます。子どもたちは、ゴミがリサイクルされて燃料になる仕組みを目にすることができて社会勉強にもなります。
奇想天外で清掃がしにくそうな建物を設計する建築家もいますが、コペンヒルのような奇抜なアイディアを出せる建築家は歓迎です。(咲)


2020年/デンマーク/51分
制作会社:グッドカンパニーピクチャーズ
配給:ユナイテッドピープル
公式サイト:https://unitedpeople.jp/copenhill/
★2023年1月14日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー




posted by sakiko at 14:28| Comment(0) | デンマーク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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