監督・脚本:飯塚花笑
撮影:角洋介
音楽:佐藤那美
出演:堀家一希(渡辺純悟)、ガウ(渡辺レイナ)、篠原雅史(金子優助)、村山朋果(佐々木里奈)、森下信浩、宮前隆行、田村菜穂、藤田あまね、鈴木咲莉
群馬県太田市でフィリピン人の母と暮らす高校生の純悟。父については何も聞かされておらず、毎月振込まれる養育費だけが父とのつながりだった。純悟には同性の恋人・優助がいるが、彼からパートナーシップを結ぶことを望まれても、自身の生い立ちが引け目となり決断できずにいる。そんなある日、母が自宅に恋人を連れて帰り、再婚したいと話す。見知らぬ男と一緒に暮らすことを望まない純悟は、実の父を探すことにするが……。
『フタリノセカイ』の飯塚監督の長編最新作品です。主人公の純悟はフィリピン人の母、日本人の会ったこともない父とのハーフ、同性愛者であるという2重のマイノリティに悶々としています。母親のレイナ役のガウさんが、息子への愛情をがんがんぶつけて大喧嘩するシーンの迫力ったら!フィリピンパブで働くお姐さんたちの明るさと強さにも感嘆しました。家族の絆が強いフィリピンの方たちは、コロナでパブの仕事がなくなっても他の一時仕事を見つけて送金をし続けたようです。
純悟には優助という恋人がいて、その家族は二人を暖かく見守っています。それだけでも幸せだと思うのですが、足りないものばかり数えてしまう「Angry Son」の純悟は気づきません。父探しをするうちに純悟が出会う人、体験することが彼を成長させるのでは、と孫のように期待して観ていました。外国人労働者が多く、子供のころから学校でいろいろな境遇の子供たちと会った飯塚監督ならではの作品。(白)
☆2022年の大阪アジアン映画祭「来るべき才能賞」受賞
2022年/日本/カラー/シネマスコープ/112分
配給:Atemo
(C)「世界は僕らに気づかない」製作委員会
https://sekaboku.lespros.co.jp/
https://twitter.com/sekaboku_movie
★2023年1月13日(金)シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ 他全国公開
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