監督:成島出
出演:役所広司、吉沢亮、サガエルカス、ワケドファジレ、中原丈雄、室井滋、アリまらい果、シマダアラン、スミダグスタボ、松重豊、MIYAVI、佐藤浩市
陶器職人の神谷誠治(役所広司)は妻を早くに亡くし、山里の窯で焼き物を作りながら一人で暮らしている。唯一の家族である息子の学(吉沢亮)は、一流企業のプラントエンジニアとしてアルジェリアに赴任している。その学が、勤務先で知り合い結婚したナディア(アリまらい果)を連れて一時帰国した。学は、今のプラントが完成したら会社を辞め、ここで一緒に焼き物をやるという。「焼き物じゃ食えん」と反対する誠治。
一方、隣町の団地に住むブラジル人青年マルコス(サガエルカス)を、半グレに追われているときに助けた縁で、誠治たち一家は団地でのブラジル人たちのパーティに招かれる。初めて親しく接した彼らは、生活は厳しくても陽気で家族思いだった。
学とナディアがアルジェリアに戻ってしばらくしたある日、プラントの現場がテロ組織に襲われたという衝撃的なニュースが届く・・・
アルジェリアのテロ組織が人質に取ったのは金目的だと聞いて、土地を担保に1千万円借りて、首相官邸に届けようとする誠。外務省に案内されますが、9.11以降、日本政府はテロ犯に金は渡さないと聞かされます。なんとか息子たちを助けたいという父親の気持ちはわかりますが、1千万では、解放してくれないでしょう。2013年1月にアルジェリアの天然ガス精製プラント建設現場がテロ組織に襲われ、日本の日揮の10人の方を含む8か国37人の方が亡くなられたことを思い出します。
本作のもう一つの柱になっているのが、在日ブラジル人はじめ日本で暮らす外国人を巡る問題。どちらかというと、こちらがメインかも。実際にブラジル人が多く暮らす団地で撮影されています。
ちょっとあれこれ詰め込み過ぎの感はありますが、役所広司さんと吉沢亮さんの父子や、刑事役の佐藤浩市さん、ヤクザのボス役で、派手なスーツがお似合いの松重豊さんなどの手堅い演技に救われた思いでした。なにより、マルコス役のサガエルカスさん、彼の恋人エリカ役のワケドファジレさんなどオーディションで選ばれた、日本で暮らすブラジル人の若い人たちが、生き辛さを感じながらも頑張る姿を伝えてくれました。(咲)
2022年/日本/121分
配給:キノフィルムズ
公式サイト:https://familiar-movie.jp/
★2023年1月6日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
【関連する記事】