2022年12月17日
死を告げる女(原題:The Anchor)
監督・脚本:チョン・ジヨン
撮影:カン・ミンウ
編集:チョン・ビョンジン
音楽:チャン・ヨンギュ
出演:チョン・ウヒ(セラ)、シン・ハギュン(イノ)、イ・ヘヨン(ソジョン)
生放送5分前、テレビ局の看板キャスター・セラのもとに名指しで「殺される」とおびえた声の電話がかかってくる。ミソという情報提供者は「死んだらあなたに報道してほしい」と訴え、同僚の言うように、よくあるいたずら電話として片づけられない。母ソジョンは「スクープを掴むチャンス」だとセラの背中を押す。ミソの自宅に向かうと、彼女とその娘は予告通りすでに亡くなっており、セラは遺体の第一発見者となった。その日以来、事件のことが忘れられないセラは一人取材を続け、事件現場でミソの主治医だった精神科医イノに出会う。不可解な彼に対する疑いが深くなっていくのだが…。
不穏な予告電話で幕をあけるこの作品は、キャリアウーマンのお仕事物語だけではなく、サスペンス、スリラー、家族の愛憎も加わって、思いがけない道筋をたどります。
チョン・ウヒは2004年に端役で映画デビュー。『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』(2013)で青龍映画賞はじめ数々の受賞、主演級の女優となりました。昨年公開の『雨とあなたの物語』ではカン・ハヌルと共演、作品ごとに新しい顔を見せてくれます。そして母役のイ・ヘヨンも受賞歴多数『あなたの顔の前に』で、主役の元女優役でした。この娘と母の葛藤にもご注目。
久しぶりのシン・ハギュン、好青年の役が多かったので『エクストリーム・ジョブ』(2019)での犯罪組織のボス役に、ずいぶんイメージが変わったと驚いたのですが、演技も深まる40代後半でした。事件に関わる要の人物です。渋いなぁ。(白)
スリラーは苦手で、『死を告げる女』というタイトルからして、怖そうで嫌だなと思ったのですが、シン・ハギュンが出演しているとあっては、やっぱり気になると観てみました。イ・ヘヨンとチョン・ウヒが母と娘を演じているのも渋いと思いました。それぞれの人物の心理描写が細やかで、かつてキャリアを捨てざるをえなかった母の思い、看板キャスターをおろされることになった娘の思いが、ぐいぐいと伝わってきました。
チョン・ジヨン監督という男性の監督がいるので、てっきりその方かと思ったら、本作の監督は女性のチョン・ジヨン。監督は女性だったのだと納得の心理描写でした。チョン・ジヨン監督は、1984年6月20日生まれ。2008年の短編『春に咲く』がベルリン国際映画祭で上映されるなど 国内外から高評価を受けていて、本作が長編第一作。今後の作品が気になります。できれば、スリラーでない作品をお願いしたいところです。(咲)
2022年/韓国/カラー/ビスタ/111分
配給:クロックワークス
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https://klockworx-asia.com/anchor/
★2022年12月23日(金)ロードショー
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