2022年12月03日

夜、鳥たちが啼く

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監督:城定秀夫
脚本:高田亮
原作:佐藤泰志
撮影:渡邊雅紀
音楽:田井モトヨシ
出演:山田裕貴(慎一)、松本まりか(裕子)、森優理斗(アキラ)、中村ゆりか(文子)、カトウシンスケ(邦博)、藤田朋子、宇野祥平、吉田浩太

慎一は、若くして小説家デビューし脚光を浴びたもののその後は鳴かず飛ばず、鬱屈した日々を送っていた。同棲中だった恋人にそのうっぷんをぶつけ、ついに去られてしまう。一人になった慎一は、先輩の元妻の裕子が離婚したため住まいを探していると知り、部屋を提供する。新しい家を見つけるまで、と好意に甘えることにした裕子は、まだ幼い息子のアキラを連れて引っ越してきた。二人は互いの生活を気遣い、深入りしないように距離をとるが、父に去られたアキラは慎一に懐き、屈託なく出入りする。

幾度も文学賞の候補になりながら、受賞できず失意のまま亡くなった作家・佐藤泰志の短編小説が原作。『海炭市叙景』から始まり、『そこのみにて光輝く』『オーバー・フェンス』『きみの鳥はうたえる』『草の響き』と次々と映画化されてきました。
本作では小説にしがみつく慎一や、子供がいながら孤独に耐え切れない裕子、と思うようにならない二人が痛々しいです。演じる二人も華やかさを封印し、揺れ動く感情を繊細に表現しています。無精ひげの山田裕貴さんも、夜な夜な出歩く松本まりかさんもまた良き。
不遇な作家であった佐藤氏の小説には、辛い境遇の人たちが一筋の光を探しつつ生きていく様が描かれています。その光を一番欲していたのは作家自身であったはず。こうして何作もが映画化されて、原作と作家に光が当たることに遅まきながらホッとします。(白)


2022年/日本/カラー/ビスタ/115分
配給:クロックワークス
(C)2022 クロックワークス
https://yorutori-movie.com/
★2022年12月9日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
posted by shiraishi at 13:26| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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