2022年12月10日ポレポレ東中野ほか全国ロードショー 劇場情報
香港の香港民主化運動の中でもがく若者たちを描いた青春映画
日本でも上映された『理大囲城』『時代革命』と共に、台湾金馬奨を席捲した衝撃作が日本公開
監督:任俠(レックス・レン)、林森(ラム・サム)
撮影:ming 田中十一 陳家信
編集:L2 任侠
音楽:Aki
出演:余子穎(ユー・ジーウィン)、孫君陶(スン・クワントー)、曾睿彤(マヤ・ツァン)
2019年6月9日から始まった香港の民主化デモから3年、2020年7月に「香港国家安全維持法」が施行されてから2年が経とうとしている。中国当局の締め付けが厳しくなり自由が失われつつある香港では、映画への検閲、規制も厳しくなり、香港の言論と表現の自由が一段と狭まっています。そうした状況で、香港では上映禁止となった映画が、海外映画祭で上映され、多くの注目されています。
2021年カンヌ国際映画祭、東京フィルメックス2021にてサプライズ上映された『時代革命』(監督:周冠威)、山形国際ドキュメンタリー映画祭2021で最高賞となるロバート&フランシス・フラハティ賞を受賞した『理大囲城』(監督:香港ドキュメンタリー映画工作者)は、日本でも大きな話題になりました。
台湾金馬奨では、これらの作品と共に、香港の無名の新人監督・任俠と林森製作の本作『少年たちの時代革命』が最優秀新人監督部門、最優秀編集賞部門にノミネートされました。香港民主化デモを描いたドキュメンタリー映画が注目される中、フィクション映画でも香港映画の新たな才能が出現していることは、香港映画界にとって希望となっています。
2019年香港民主化デモを描く劇映画!
2019年、民主化デモで示した民意が香港政府に受け止められないことに、無力感や絶望感を募らせ、抗議の自殺をする若者が相次いだ背景を元に作られた。
民主化運動のデモに参加した少女YYは警察に逮捕され、保釈されたが親友も香港を去ることになり、孤独に苦しみ自殺しようと街を彷徨する。それを知ったデモ参加者の仲間たちがSNSを頼りに彼女を探し出そうと、デモの最中、街中を走りまわり探すがみつけ出せないまま時間が過ぎてゆく。
夜になり、屋上から香港の街を見下ろしている彼女をみつけ、自殺をとどまるよう説得。デモ現場でのゲリラ撮影や、実際のデモ映像を織り交ぜた緊迫感ある映像を織り交ぜ、緊迫感あるストーリーが展開する。
少女YYの絶望する心、仲間を失いたくないデモ参加者たちが民主化運動の中でもがく悲痛な思いが伝わってくる。自由が失われ、絶望と希望の間で彼らは香港を歩き続けた。
最近では民主化運動のドキュメンタリーだけでなく、その中で生き、もがき苦しむ人々にフォーカスしたドラマも作られるようになった香港。この映画の主人公の少女の夢も希望も奪われ、この中で生きていたくないという絶望感は私もわかる。私も1970年頃の学生運動の中で「こんなに頑張って運動しても何も変わらない。それどころか状況は悪くなっている」という絶望感を感じていた。その思いが繰り返されていると感じた。いわば行き止まりの絶望感でもある。そこを乗り越えて、やれるところから変えていってほしいと、昔、同じ絶望感を感じた私は思う。
今年は同じように民主化運動の中に生きる人々を描いた陳梓桓(チャン・ジーウン)監督の『Blue Island 憂鬱之島』も公開されたし、香港民主化運動に関連したドキュメンタリーやドラマが何本も公開され、香港への関心は高まっているけど、これで終わらず、これからも香港の行く方向を見守っていきたい(暁)。
公式HP
2021/香港/カラー/DCP/ステレオ/86分
配給:Cinema Drifters、大福
*参照 シネマジャーナル これまでの香港民主化運動関係の記事
●『時代革命』 キウィ・チョウ監督インタビュー
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/490683730.html
●香港返還25年 大雨だった1997年7月1日を思う
http://cinemajournal.seesaa.net/article/489403875.html
特別記事
●『乱世備忘 ― 僕らの雨傘運動』
陳梓桓(チャン・ジーウン)監督インタビュー
山形国際ドキュメンタリー映画祭2017にて 2017年10月11日
http://www.cinemajournal.net/special/2017/yellowing/index.html
●『乱世備忘 僕らの雨傘運動』
陳梓桓(チャン・ジーウン)監督インタビュー(日本公開時)2018年07月22日
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/460641864.html
●『革命まで』2015年 香港
郭達俊(クォック・タッチュン)監督&江瓊珠(コン・キンチュー)監督インタビュー(山形国際ドキュメンタリー映画祭2015にて)
http://www.cinemajournal.net/special/2016/kakumeimade/index.html
2022年12月03日
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