2022年11月20日
はだかのゆめ
監督・脚本・編集:甫木元空(ほきもとそら)
プロデューサー:仙頭武則 飯塚香織
撮影:米倉伸
音響:菊池信之
出演:青木柚、唯野未歩子、前野健太、甫木元尊英
余命宣告を受けた母は、ふるさと四万十川のほとりの実家で暮らす選択をした。祖父が一人住んでいる家にやってきた二人。何事にものろまな息子のノロは、母に近づく死を受け入れられず一人徘徊するばかり。祖父は淡々と畑を耕し、闘病中の母はできる家事をゆっくりとこなし、散歩をし、日記を書く。
甫木元監督の体験を半ば投影した映像詩のような静かで美しい映画。四万十川の風景の中を歩き回り、寝転び、たたずむノロが本当はもうこの世にいない人にも見えてしまいます。少ないセリフは選び抜かれた歌詞のようで、甫木元監督が映像作家であり、バンド「Bialystocks」のヴォーカリストでもあると知って納得。
2016 年『14 の夜』(足立紳監督)で映画デビューした青木柚(あおきゆず)さんが、母を遠くから見守るノロ、息子を思う母を唯野未歩子さん、何事もあるがまま受け入れる祖父を監督の実の祖父である甫木元尊英さん。シンガーソングライターの前野健太さんが、あちこちに出没してあの世とこの世を結ぶ役割をはたしているようにも見えます。
命は限りあるとわかってはいても、自分の大事な人だけはどこへも行かない気がしてしまうものです。たくさんの人を見送る年頃になると、その境界はとてもあいまいでちょっと越えて行っただけ、近くで見守ってくれているかもしれないと思うようになりました。(白)
2022年/日本/カラー/アメリカンビスタ/59分
配給:boid/VOICE OF GHOST
©PONY CANYON
https://hadakanoyume.com/
★2022年11月25日(金)全国順次公開
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