2022年11月06日

ペルシャン・レッスン 戦場の教室    原題:Persian Lessons

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HYPE FILM, LM MEDIA, ONE TWO FILMS, 2020 (C)
監督:ヴァディム・パールマン 
出演:ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、ラース・アイディンガー、ヨナス・ナイ、レオニー・ベネシュ

1942年、ナチス占領下のフランス。ユダヤ人青年ジルは捕らえられ移送中のトラックの中で、手にしていたサンドイッチを、ペルシャ語の本と交換してほしいと同胞の男に頼まれる。レザという家主が出国する時に置いていった本だという。森の中で銃殺されそうになった時、ジルは本を掲げ、「自分はペルシャ人だ」と嘘をつき難を逃れる。
折しも、強制収容所のコッホ大尉が、部下にペルシャ人を見つけたら褒美をやると命じていた。コッホ大尉の前に連れていかれ、証拠を示せと言われ、たった一つ聞いていた単語を伝える。コッホ大尉は、戦争が終わったら、兄のいるテヘランでドイツ料理店を開くのが夢だという。ペルシャ語を教えてくれという大尉に、ジルは、父はペルシャ人だけど母はベルギー人、家で話していただけで読み書きはできないと伝える。ジルは、一日40の単語を教えることになる。すべて造語だ。
コッホ大尉のもとで囚人名簿の記入係をしていた女性が、字が汚いとほかの部署に飛ばされ、代わりにジルが名簿を担当することになる。造語を思いつくのに苦労していたジルは、囚人の名前から単語を作るようになる・・・


偽のペルシャ語を教えて、ホロコーストを生き延びた実話?と思ったら、ヴォルフガング・コールハーゼの短編小説に着想を得た物語。 とはいえ、あの時代、なんとかして生き抜こうと模索したユダヤ人は多々いることと思います。
ペルシャ語を学んだ私にとっては、ユダヤ人の青年がペルシャ人になりすまし、“偽”のペルシャ語レッスンを行うという物語に興味津々。 最初に、たった一つ知っている単語として出てきた「お父さん」は、「バーバー(ババ)」なのですが、字幕がバウバウになっていて、ちょっとがっかり。
1日40語ずつとはいえ、自分で作った偽の単語を記憶するのは、並み大抵のことではできません。演じたナウエル・ペレーズ・ビスカヤートは、アルゼンチン出身で、母語はスペイン語。ほかにドイツ語、イタリア語、フランス語も話せるそうで、まさにジル役にぴったり。 また、ジルのスバ抜けた記憶力は、戦後、思いもかけないことで役に立つというラストには、涙が出る思いでした。
ペルシャ語をご存じの方には、ほんの少しですが、本物のペルシャ語が重要な場面で出てきますので、お楽しみに♪
思えば、ヴァディム・パールマン監督の『砂と霧の家』(2003年)は、革命でイランからアメリカに亡命した一家の物語でした。もしかしたら、監督、イランにご興味が?? (咲)



2020年/ロシア、ドイツ、ベラルーシ/ドイツ語、イタリア語、フランス語、英語/129分/カラー/シネスコ/5.1ch/G 
字幕翻訳:加藤尚子
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ 
公式サイト:https://movie.kinocinema.jp/works/persianlessons
★2022年11月11日(金)より kino cinéma横浜みなとみらい他 全国順次公開

posted by sakiko at 18:23| Comment(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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