2022/11/4(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー 劇場情報
「ソウル・オブ・ワイン」は大地と空と人の出会いから
監督・脚本:マリー=アンジュ・ゴルバネフスキー
撮影:フィリップ・ブレロー
出演者 公式HP
高級ワインの代名詞ともいわれるロマネ=コンティをはじめとする世界最高峰のワインを生み出すワイン愛好家の聖地、フランス・ブルゴーニュ地方。名だたる畑を守る生産者たちの貴重な舞台裏を1年に渡り密着したドキュメンタリー。
農薬や除草剤を使わず、草むしりは手作業。畑を耕すのは馬を使い、自然のままの有機農法やビオディナミ農法でワイン造りをするブルゴーニュの生産者たち。土地の所有者ではなく、次世代へとその遺産を受け継ぐ番人と語る。そして何世紀もの間、ワイン畑を守り、その技と知恵、哲学をつないできた。ワインとテロワール(土壌や生育環境)について語り、最高級のワインが生まれる貴重なプロセスを、丁寧に、冬から春、実が大きくなり、熟れ、収穫を経て、ワインができるまでを四季を通じて映し出す。
詩的で芸術的な映像を観ながら、何世紀も繰り返され、継続されてきたワインができるまでの過程をじっくり眺めると、自然の真理やワイン造りの哲学が伝わってくる。またワイン造りに欠かせないオークの樽作り工程も丁寧に描きだされる。
葡萄生産者から樽職人、ワイン生産者、醸造専門家、ソムリエなど、フランスのワイン界を代表する一流のスペシャリストたちが、その香り高く味わい深い世界の導き手となり、フランスのワイン文化の「真髄」、丹念な仕事を映し出す。
1本200万円以上すると言われている高級ワインなんて、私には縁がないし、興味もなかったけど、この作品はそれらの高級ワインの生産地ブルゴーニュを舞台に、葡萄を栽培する人、ワインを造る人、はたまたワイン樽を作る人、そしてソムリエや醸造専門家など、ワインに関わる人たちが出てきて、ワインを語る。ワインはこういう風に作られているのだという作りになっていて、とても興味深い。ワインが好きな人もワインを飲まない人にとっても、このようにしてワインが作られていくという過程が描かれ、とても興味深いドキュメンタリーだと思う。
特に葡萄を作る生産者たちの仕事が最初から最後まで描かれていたのが、とてもうれしかった。馬で畑を耕すところや、剪定、農薬や除草剤に頼らず手による除草、葡萄を手摘みする姿、葡萄の仕分けまでしっかり描かれ、そして樽作りについても最初から最後まで描かれ、樽ってこんな風にできるんだと感心した。また、フランス、ブルゴーニュ地方の四季の葡萄畑の風景と、何世代にも渡ってワイン畑を守り続ける生産者たちの知恵と技、そして畑を継続してゆく姿を通して、ワインと人間の関わり、ワイン造りの原点を幅広く紹介している。この作品で、樽からスポイトのようなものでワインを取り出して試飲する光景を見て、私もこの経験をぜひしてみたいと思った。
最後のほうでパリに店を持つ日本人のソムリエとシェフが1945年のヴィンテージワインを試飲するシーンがでてくるが、「ドキドキするとか、感動しかない」とかいう言葉を繰り返すばかりで、せっかくのワインの味覚を表現する言葉が出てこなかったのが残念だった(暁)。
公式サイト http://mimosafilms.com/wine/
2019年/フランス/フランス語/102分/カラー/1.85:1/5.1ch
字幕:齋藤敦子 字幕監修:情野博之
協賛:株式会社ファインズ
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本、一般社団法人日本ソムリエ協会
配給:ミモザフィルムズ
2022年10月30日
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