2022年10月09日

木樵

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監督・撮影・編集:宮﨑政記
プロデューサー:益田祐美子
語り:近藤正臣
出演:面家一男、澤和宏、瀧根清司

岐阜県下呂市生まれの宮﨑政記監督は、木樵(きこり)の父の背中を見て育った。林業不況の中、木樵になる夢を断念して映画の道に進んだ。30年後、故郷の山に戻った監督は、今も木樵を続ける面家(おもや)一男さん瀧根(たきね)清司さんの兄弟、その家族やお弟子さんたちに出逢う。彼らは昔ながらの方法で山を守り続けていた。木を伐り出した後も、林道を作らず山が荒れないように細心の注意をはらって下へ送っている。監督は一年間彼らの日常に寄り添い、日々地道な仕事を続けている男たちを撮影した。

山仕事の映画ですぐ思い出したのは、矢口史靖監督の『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』(2014)。進路を決められない18歳男子(染谷将太)が軽い気持ちで飛び込んだ山仕事、過酷さに音をあげつつも楽しみを見出す作品でした。これで、ちょっとだけ林業の一面を見せてもらいましたっけ。
こちらのドキュメンタリーにも、多くを語らず黙々と働き山を護る木樵さんたちが登場します。
自然に任せたままの山ではなく、植林などで人の手が入った山は、その後の世話が必要です。樹木は植えてから長い時間世話し続けないと売れるだけの木材になりません。この間に価格が大きく下落してしまったら、骨折り損になってしまいます。途中で手入れをやめれば病虫害も発生するでしょうし、山が雨を支えきれず土砂災害が起こってしまうこともあります。
今切り出している木は、何十年か前から先輩が面倒を見て来たもの、今世話している山の木が立派な木材になるのは何十年先。自分の目で結果が見られないかもしれない作業を丁寧に続けるというのは尊いです。過去に感謝し未来を思って働いているわけですよね。実際の暮らしは金銭収入がないと成り立ちませんが、それだけではないとても豊かな恵みをこの作品の中に見た気がしました。(白)


2022年/日本/カラー/81分
配給:平成プロジェクト
(C)2022「木樵」製作委員会
http://kikori-movie.com/
★2022年10月14日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

posted by shiraishi at 14:47| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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