監督:高橋伴明
脚本:梶原阿貴
音楽:吉川清之
主題歌:Tielle 「CRY」(ワーナーミュージック・ジャパン)
出演:板谷由夏、大西礼芳、三浦貴大、松浦祐也、ルビー・モレノ、片岡礼子、土居志央梨、あめくみちこ、幕雄仁、鈴木秀人、長尾和宏、福地展成、小倉早貴、柄本佑、下元史朗、筒井真理子、根岸季衣、柄本明
居酒屋で住み込みのパートとして働く北林三知子(板谷由夏)。コロナ禍で客足が落ち、解雇されてしまう。介護センターに採用が決まるが、コロナの為、採用取り消しになり、仕事も住む場所も失ってしまう。ファミレスやネットカフェも深夜営業をやめていて、途方に暮れた三知子は、幡ヶ谷のバス停のベンチで一夜を明かす。
一方、居酒屋の店長・寺島千春(大西礼芳)は、解雇した3人の退職金90万円が本部から送られているにもかかわらず、マネージャーの大河原聡(三浦貴大)が着服したことに気が付く。
バス停で目覚めた三知子に、派手な格好のホームレスの老婆(根岸季衣)が声をかけ、弁当の配布場所に案内してくれて、バクダンと呼ばれるホームレスの男(柄本明)を紹介してくれる。バクダンはかつて学生運動や成田空港建設反対運動などをしていたことを豪語する・・・
2020年の春、突然コロナ禍に見舞われ、私たちの暮らしが一変しました。三知子のように、仕事や住む場所を失った人も数多くいることでしょう。コロナという見えない敵に、どこに怒りをぶつけていいかわからない状態が今も続いています。こんな世の中だからこぞ、少しでも余裕のある人は、弱者に手を差し伸べることが必要だと感じます。その前に、行政のきめ細かいサポートが肝心ですね。税金は有効活用してほしいです。そして、いつ、自分が職や住まいを失うかもしれないことも肝に銘じたいものです。(咲)
幡ヶ谷バス停でのホームレス女性が撲殺された事件は衝撃でした。女性が生活保護など行政の助けを求めずに、路上生活を続けていたことを知りました。笑顔の写真を撮った頃には、そんなバッドエンドを迎えるなどと想像もしなかったでしょう。
映画は事件の再現ではなく、働く意欲も能力もあるのに、コロナをきっかけにいろいろなものを失くしてしまう女性・三知子の日々を描いています。キャリアウーマンや母子家庭の母などを演じてきた板谷さんが三知子役、自分もちょっとの違いでこうなるかもという危機感を抱きました。年季の入ったベテランホームレスの柄本さん根岸さんは、いわば先輩サバイバー。この二人についていけば大丈夫!という安心感あり。
2022年の厚労省の調査では、ホームレスとみなされる人は全国で3448人(うち女性162人)。大阪、東京の順に大都市に集中しています。ネットカフェなどで寝起きしている人は路上生活者ではないので、数に含まれません。実際に遭遇することもあるのに、一人一人のそれまでの人生を想像したのは、テレビや映画のドキュメンタリーを見てからです。以前観た海外作品では、衣服や食品などの援助物資を路肩にある箱から、誰でももらっていけるようになっていました。安全だと信じられることが前提ですが。
困ったときに「助けて」と声のあげられる社会でなくてはと思います。それは自分自身のためでもあります。(白)
2022年/日本/ビスタ/5.1ch/DCP/91分
配給:渋谷プロダクション
公式サイト:https://yoakemademovie.com/
★2022年10月8日(土)より新宿K’s Cinema、池袋シネマ・ロサ他全国順次公開
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