©Splash Pictures Inc., Media Asia Film Production Ltd., JVR Music International Ltd., G.H.Y. Culture & Media (Singapore).
監督・脚本:ロアン・フォンイー(阮鳳儀)
製作総指揮:トム・リン(『百日告別』『夕霧花園』)
撮影:ヨルゴス・バルサミス
出演:カリーナ・ラム(林嘉欣)、カイザー・チュアン(荘凱勲)、ケイトリン・ファン(方郁婷)、オードリー・リン(林品彤)
2003年の冬。アメリカから台湾に帰郷した13歳の少女と家族の物語
母と妹とロサンゼルスで暮らしていた13歳のファンイー。母が乳がんに罹り、父が一人で暮らしていた台北に戻り、家族4人で暮らすことになった。台北の名門中学校に入るが、校則で長い髪は切らなければならなかった。英語は得意だが、中国語は苦手のファンイーは、皆から陰で「アメリカン・ガール」と呼ばれ、なかなか学校に馴染めない。ある日、教師からスピーチコンテストへの参加を勧められ、母への正直な想いを綴る。ところが、コンテストの前日に妹がSARS感染の疑いで家族全員が隔離されてしまう・・・。
<ロアン・フォンイー監督のコメント>
©Splash Pictures Inc., Media Asia Film Production Ltd., JVR Music International Ltd., G.H.Y. Culture & Media (Singapore).
『アメリカから来た少女』は、私の少女時代である2003年の重要なエピソードに基づいた半自伝的な物語です。私が7歳の時、母は私と妹を連れてアメリカに渡りました。父は仕事のために台湾に残りました。私たちがアメリカでの生活を始めてやっと5年が過ぎた頃の2003年、母の乳がんが発覚し、私たちは台湾に戻りました。私は、母親がいなくなることをいつも恐れながら、少女時代を過ごしていました。それなのに、私は、心の底にある母を失うことへの恐怖を10代の怒りの感情で紛らわせ、母が亡くなったときに自分が受けるであろう心の傷が軽くなるようにと、母を自分の最大の敵として位置付けたのです。本作品では、台湾に戻った10代の少女の葛藤の物語として、彼女の家族のポスト・アメリカン・ドリームがどのように崩壊したか、そして彼女らがそれにどう折り合いをつけたのかにも触れています。
『アメリカから来た少女』は、人は成長することでどれほど傷つくのか、家庭というものがいかに移り変わるのか、そして、傷ついた2人の人間が人生の中でいかに互いを傷つけ合い、癒し合うのかを描いています。
©Splash Pictures Inc., Media Asia Film Production Ltd., JVR Music International Ltd., G.H.Y. Culture & Media (Singapore).
1990年生まれのロアン・フォンイー監督の自身の経験に基づく半自伝的物語。
小学生から中学生にかけてアメリカで過ごし、母国語のはずの中国語よりも英語の方が楽なファンイー。友達とも別れなければならず、台北の家ではネットも繋がらなくて、母が病気にならなければとうらめしいのです。一方で、乳がんで母が死んでしまうかもしれないという恐怖もあります。そんな複雑な少女の思いを、ケイトリン・ファンが見事に演じています。演技経験はなかったものの、バイリンガルの少女を探すオーディションで抜擢され、金馬奨と台北映画祭で最優秀新人賞を受賞しています。
母親役のカリーナ・ラムも、病を抱え、我が子を置いて先立つであろうことへの思いを繊細に演じています。カリーナ・ラムには、『男人四十』が、2002年のアジアフォーカス・福岡映画祭で上映された折にお会いしていますが、可憐な少女という雰囲気でした。その彼女が、お母さん役! (実生活でも、お母さんですね) しっとりとした素敵な大人の女性になりました。
娘たちにアメリカで教育を受けさせるため、一人台北に残ってあくせく働く父親を演じたのは、台湾の映画やドラマで活躍する実力派のカイザー・チュアン。「僕は家族のATMか」と、一家を支える父親の悲哀をたっぷり感じさせてくれました。(咲)
SARSが猛威を振るう2003年、アメリカから台湾に帰国した13歳の少女と家族の物語。母が乳癌にかかり治療のため、台北で一人暮らしている夫の元へ帰国。しかし、幼い頃に渡米した娘のファンイーは中国語も不得意で、台北の暮らしにも馴染めず、親友のいるアメリカに戻りたいと考え不満タラタラ。馬が大好きでアメリカでの生活を謳歌していた娘にとって、母国での生活は異文化との遭遇でストレスだらけ。その怒りを母にぶつける。数年ぶりに再会した父親とも上手くいかず、久しぶりに家族が揃ったのに不満をぶつけ合い傷つけあう。妹は意外と台湾になじんでいたのにSARSにかかってしまう。この家族に次々といろいろな出来事が起こり、家族のストレスもマックスに。
台湾での学校生活は、強圧的な先生も描かれるが、母との確執に対して、弁論大会で自分の気持ちを語るように言ってくれる先生もいて、母との関係を見直してゆく。仕事にかかりきりの父も家族の理解者であろうとする姿が描かれ、この家族の行く末に少し希望が見える。辛い治療に穏やかではいられない母親を演じていたのはカリーナ・ラム。苦悩する母親役を演じていて、少女のようだったカリーナもそういう年齢になってきたかと感慨深い(暁)。
2021年・第58回金馬奨 5部門受賞!
(最優秀新人監督賞、最優秀新人俳優賞、最優秀撮影賞、観客賞、国際批評家連盟賞)
2021年・第34回東京国際映画祭「アジアの未来」部門出品作品
2021年/台湾/北京語・英語/101分/ビスタサイズ(1.85:1)/5.1ch
配給:A PEOPLE CINEMA
公式サイト:https://apeople.world/amerika_shojo/
★2022月10月8日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開