2022年10月02日

裸のムラ

10月8日(土)より、[東京]ポレポレ東中野、[石川]シネモンドほか全国公開
劇場情報

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(C)石川テレビ放送

政治家、公務員、有権者、マスメディア。みんなそれぞれ一生懸命。
だけど、やっぱりズレている?!

監督:五百旗頭幸男(いおきべ ゆきお)
撮影:和田光弘 編集:西田豊和 音楽:岩本圭介
音楽プロデューサー:矢﨑裕行 プロデューサー:米澤利彦

『はりぼて』で富山市議会の不正を丸裸にした五百旗頭幸男監督。富山チューリップテレビを辞し、新天地の石川テレビで制作した2本のドキュメンタリー番組「裸のムラ」と「日本国男村」をもとに、<北陸の保守王国>石川県から日本の縮図を描く。その一方で、私たちが暮らす社会に根強く残る家父長制(パターナリズム)や男性中心社会の姿をユーモアを込めて描きだす。

現職最長となる7期27年目の 谷本正憲石川県知事(75)は、コロナ禍に「無症状の方は石川県にお越しいただければ」と失言。「4人以下での会食」を呼びかけたのに、自身は90人以上で会食。永すぎた権力集中が周りを見えなくし、為政者は傍若無人になっていく。そんな長期県政もついに終焉を迎えた。新知事に立候補したのは、谷本の選対本部長を務めていた衆議院議員 馳浩。馳新知事が掲げたスローガン「新時代」は、馳が衆議院に初当選した時と同じだった。ムラの男たちが熱演する栄枯盛衰の権力移譲劇。ここ一番で登場するのは、ご存知森喜朗元内閣総理大臣。
一方でキャメラは市井の生活者へも向けられる。同調圧力の強い社会で暮らすムスリム一家、車で移動しながら生活や仕事をする一家の姿から、理想や自由をめぐる葛藤と矛盾が浮かび上がってくる。

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(C)石川テレビ放送


五百旗頭幸男監督は、前作同様、今回も「議会」と市民生活をテーマにした作品を映画化。前回は富山県、今回は石川県。それにしても石川県の谷本知事は7期27年も知事を務めていたというのにびっくり。地方ではそんなに長い間知事を務めている人がいるのだということを知った。それにしても27年もと思って調べてみたら、歴代最長県知事在任日数トップはなんと谷本知事の前の石川県知事中西陽一氏の8期でした。1963年から1994年まで、なんと30年9ヵ月にわたって石川県知事を務めたようです。石川県というところは、そういうところだったのかと改めて思いました。まだ議会を見渡しても、議員や周りの人たちを見ると男の人ばかり。女性は議長の水を用意する人しか出てこなかった。ことほど左様に議会に女性はいない。これは石川県だけでなく、都内のリベラルと思われる市町村でも、女性はまだまだ少ない。「議会に女性を」という活動は市川房枝さんの時代もあったのに、なかなか増えないのは議員活動はかなり自分の生活を犠牲にしないとやれないということが大きいと思う。それでも、都道府県知事や市町村知事に女性がというのは増えてはきている。
でも、この石川県や富山県など、地方の議会の男性一色というのはなんだかなあと思いつつ、この中に入っていきたいくにはかなり勇気がいると思う。将来どのくらい女性が増えていくだろう(暁)。


本作について予備知識なく見始めたら、モスクが出てきて、おっ!と俄然興味を惹かれました。モスクの管理をしている松井誠志さんは、ボランティア活動のために行ったインドネシアで出会ったヒクマさんと結婚するためイスラームに改宗した方。就職の面接でムスリムであることを話すとどこも採用してくれなかったこと、石川県で初めてのモスクを建てることになったとき周囲から反対されたこと、公安調査庁から「内部スパイ」として情報提供を求められたことなど、日本社会における「偏見」を見せつけられました。並行して語られる石川県知事を7期務めた谷本正憲氏を取り巻く様は、権力にしがみつく男社会の極み。政治が多様性に対応できないことも感じざるをえませんでした。
一方、ヒクマさんは、金沢大学留学生支援地域アドバイザー、金沢市町会言語サポーターなどを務め、21年には「いしかわ女性のチャレンジ賞」を受賞するなど大活躍。それでも、「今の日本社会、国籍を変えても顔で判断されて外国人」と、帰化はしないと語ります。国籍など関係なく、自分の居場所で出来る限りのことをしているヒクマさん、素敵です。(咲)



公式HP
製作:石川テレビ放送 配給:東風
2022年|日本|118分|ドキュメンタリー|

参考記事 シネマジャーナル 特別記事
『はりぼて』五百旗頭幸男監督、砂沢智史監督インタビュー
posted by akemi at 04:00| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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