監督:岸本司
脚本:岸本司 木田紀生
撮影:羅偉恩
音楽:辺土名直子/真栄里英樹
出演:リー・ジャーイン(ロロ)、朝井大智(アーロン)、中村映里子(ナツ)、加藤雅也
ロロは台北で葉はと二人暮らし。父は日本人だがロロが生まれた時に、母と自分を捨てて日本に帰ったと聞いている。母は詳しいことを語らず、ロロは父の顔も知らない。鬼月初日にロロはたまたま開いた古い本に挟まれた海の写真を見つけた。その裏面には、日本人の父の名前が書かれていた。父は本当に自分たちを捨てたのだろうか?ロロは母の反対を押し切り、友人のアーロンを誘って父の故郷の沖縄を訪ねることにした。手がかりは1枚の写真と父の名前だけ。写真の「みらく島」は、旧盆の間外の人間は入ることを禁じられていた。ロロとアーロンは父を探している!と頼み込んで、みらく島へと向かう船に乗り込んだ。
台湾では旧暦7月を「鬼月」と呼ぶそうです。旧暦7月1日にはあの世の扉(鬼門)が開いて、亡くなった先祖の霊が帰ってきます。台湾では1ヶ月間ですが、日本のお盆は旧暦7月13日から16日の4日間。お供え物をしてお盆の入りに迎え火・お盆が終わると送り火をたきます。宗派によっては盆提灯を飾って目印にします。沖縄ではウンケーと呼ばれている初日にあの世の扉が開き、亡くなった人たちが帰ってきます。ロロとアーロンは、奇しくもあの世とこの世の境がなくなる日にみらく島で不思議な人々に遭うことになりました。
ロロ役のリー・ジャーインは可愛らしく、台湾にルーツを持つ朝井大智さんが日本語勉強中という友人・アーロン役でシーンに明るさを加えています。
今年は縁あって2度沖縄に行ってきました。島では人との関わりや見えないものへの想いが強い気がします。台湾でも信仰厚い人が多いのか、あちこちの寺院には善男善女がたくさん祈りを捧げていました。その台湾と日本の合作映画が亡くなった人が戻ってくるという、この作品になったのは興味深いです。
幸せな人生を送った人ばかりでなく、恨みや心残りを抱えた人の霊も登場します。ことに沖縄は戦争で多くの人が亡くなったところなので、帰るすべのない霊たちもたくさんいます。避けることなく登場しますが、鎮魂のつもりで見守ってあげてください。(白)
2021年/日本・台湾/カラー/シネスコ/101分
配給:ムービー・アクト・プロジェクト
(C)2021「ボーダレス アイランド」製作委員会
https://www.borderless-island.com/
★2022年10月1日(土)新宿K's cinemaほか全国順次ロードショー
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