2022年09月25日

1950 鋼の第7中隊 原題:长津湖 英題:The Battle at Lake Changjin

劇場公開2022年9月30日TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
劇場情報
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© 2021 Bona Entertainment Company Limited All Rights Reserved.

朝鮮戦争における長津湖での中国軍とアメリカ軍の戦いを中国側から描く

製作費270億円をかけ、映画スタッフ1.2万人、エキストラ7万人、450社に及ぶVFXスタジオが参加するなど、壮大なスケールで描かれる戦争スペクタクル『1950 鋼の第7中隊』。朝鮮半島の主権をめぐって韓国と北朝鮮が争った「朝鮮戦争」だが、戦ったのは朝鮮人だけではなかった。
朝鮮民主主義人民共和国の側には中国が援軍し、韓国側はアメリカ軍中心の「国連軍」がついた。この映画は、その中で、アメリカ軍中心の「国連軍」と中国軍が直接戦った「長津湖の戦い」を描いた。1950年11月27日に勃発した、現在の朝鮮民主主義人民共和国の咸鏡南道長津郡長津湖周辺で行われた戦闘の一つ。仁川から朝鮮半島に上陸し、38度線を越えて中朝国境に迫っていた「アメリカ」に危機感を持った中国は人民志願軍を派遣した。中国軍と「アメリカ軍」が初めて激突した戦闘で、朝鮮戦争の中でも最も熾烈な戦いとして知られている。極寒の過酷な環境のもと、激しい戦いを続け、「アメリカ軍」を38度線まで退け、戦況を逆転へと導いたターニングポイントとなった戦いを描いた。

『黄色い大地』『さらば、わが愛/覇王別姫』のチェン・カイコー監督、『北京オペラブルース』『セブンソード』のツイ・ハーク監督、『ツインズ・エフェクト』『ブラッド・ウェポン』のダンテ・ラム監督、中国、香港を代表する3人の監督を起用し、『黒砲事件』のホアン・チェンシン監督がプロデュースした戦争大作。朝鮮戦争の歴史に詳しいチェン・カイコー監督が史実に基づく全体的なストーリー部分を手掛け、歴史観や豊富な知識をもとに、登場人物の表現描写において手腕を発揮。ツイ・ハーク監督は得意とする特撮技術や独自の美学を表現した。戦闘シーンはアクション分野が得意なダンテ・ラム監督が見事に再現。3人の得意分野を合わせることで、兵士の感情表現と、迫真のリアリズム溢れる作品になった。

スタッフ・キャスト
監督:陳凱歌(チェン・カイコー)、徐克(ツイ・ハーク)、林超賢(ダンテ・ラム)
製作:黄建新(ホアン・チェンシン)
出演
呉 京(ウー・ジン) 伍千里役 
易 烊千璽(イー・ヤンチェンシー) 伍万里
段 奕宏(ドアン・イーホン) 談子為
朱 亜文(チュー・ヤーウェン) 梅生
張 涵予(チャン・ハンユー) 宋時輪
胡軍(フー・ジュン)雷睢生
韓東君(エルビス・ハン)平河
黄軒(ホアン・シュアン)毛岸英

零下41度の極寒の山中 “鋼の第7中隊”として知られる兵士たちが繰り広げた長津湖の戦いを映画化

国民党との「国共内戦」が終結し、1949年に中華人民共和国ができたばかり。やっと戦いが終わり、地元に戻った人民志願軍・第9兵団 第7中隊長の伍千里(ウー・ジン)は、戦死した兄の百里の遺灰を持って帰る。軍の手当で彼は両親に家を建てることを約束した。しかし、落ち着くまもなく中国が朝鮮戦争に参戦し、軍に呼び戻される。弟の万里(イー・ヤンチェンシー)は一緒に行きたいと言うが、両親の面倒を見るようにと千里は伝えた。
千里が戻った第7中隊は、前線に無線機を届けるように指示を受け、朝鮮に向かう列車に乗ろうとしたところで万里の姿を見つけた。帰るように説得したが、弟の揺るがぬ意志を目の当たりにし入隊を許可した。列車は移動中に爆撃され、第7中隊は徒歩での移動を余儀なくされる。途中、米軍機と遭遇し兵士たちは遺体をよそおうが容赦なく銃撃されたり、いろいろな困難を乗り越え、無線機を前線の総司令部に届けた。しかし充分な休息を取る間もなく前線に出発。
しかし無線機の発信から、米軍の探知機が総司令部の場所を特定し、戦闘機で基地を爆撃に到来。防空壕に避難した中国軍だったが、司令室にある地図を取りに戻った兵士が爆撃を受ける。その人物は彭徳懐将軍の秘書として劉という偽名で従軍していた毛沢東の息子、毛岸英だった。
一方「長津湖」に向かった第7中隊は、十分な食料や防寒具もなく、過酷な氷点下での行軍を続け、やっと「長津湖」にたどり着き、11月27日の夕刻、長津湖を陣地とする米第31歩兵連隊掃討作戦が開始され、中国人民志願軍と米軍による「長津湖の戦い」の火蓋が切って落とされた。

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厳しい戦いの中で生死を共にする兵士たちには、中国で活躍する俳優陣が参加している。第7連隊の精神的支柱である連隊長の伍千里を演じるのは『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』(2017)のウー・ジン。弟、伍万里に扮するのは『少年の君』(2019)のイー・ヤンチェンシー。退役間近の砲兵小隊長の雷睢生にフー・ジュン。そのほか『迫り来る嵐』のドアン・イーホン、『マンハント』のチャン・ハンユー、『空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎』のホアン・シュアンなども出演している。

朝鮮戦争を描いた映画は、日本では主に韓国が作ったものを観る場合が多かったが、そこにはほとんど中国軍のことは出てこなかった気がする。北朝鮮作も観たことはあるが、そこにも中国軍のことはほとんど出てこなかったと思う。そういう意味では、朝鮮戦争に中国軍も参戦していたということを知る機会になるかもしれない。私自身は、中国側から朝鮮戦争を描いた映画は、これまで現中映(現代中国映画上映会)で上映された作品などで観たことがあるけど、日本で一般公開される作品が出てきたことは興味深い。
これまで観てきた、中国が描いた朝鮮戦争の映画に比べればプロパガンダ色は少し控えめな感じだが、やはり香港の監督二人が参加しているというのもあるかもしれない。でもこのご時勢で観れば中国の宣伝映画ではあるかな。
それにしても朝鮮人や韓国人は一人も出てこなくて、中国兵とアメリカ兵だけというのは、なんだか不自然な気がする。中国軍と北朝鮮の兵とが一緒に行動するとか、アメリカ軍の中に韓国兵はいなかったのだろうかと思った。それでも、朝鮮戦争そのものの記憶が薄れている現在、中国側からの朝鮮戦争を描いた作品を観れば、また違う見方もできると思う。
毛沢東の息子、毛岸英が朝鮮戦争で亡くなったということも出てきました。私はそのことは知ってはいたけど、毛沢東には3人の息子がいたというのをこの作品で知りました。長男は亡くなっていて、三男は病弱、次男の岸英が朝鮮戦争に行ったのですね。
この紹介文を書くのにネットでいろいろ検索していたら、やはり中国映画で朝鮮戦争を描いた『バトル・オブ・ザ・リバー 金剛川決戦』(原題:金剛川)という作品が今年(2022)1月に日本で上映されていたことを知った。「のむコレ'21」(2021年10月22日~/東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋)上映作品となっていたけど、全然知らなかった。残念。朝鮮戦争末期の1953年、燕山部と呼ばれる師団が金城の前線に赴き、主力部隊を援護するよう命じられる。金城に向かう道はただひとつ、金剛川に掛かる橋を渡らなければならないが、米軍の爆撃機が橋を壊してしまう。というような内容で、これも中国でヒットしたらしいが、この作品も、この『長津湖』も韓国では、上映の妨害にあったという(暁)。


公式HP https://1950-movie.com/
2021年製作/175分/R15+/中国
原題:長津湖 The Battle at Lake Changjin
配給:ツイン
posted by akemi at 21:13| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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