2022年09月18日

暴力をめぐる対話 原題:Un pays qui se tient sage 英題:The Monopoly of Violence

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© Le Bureau - Jour2Fête – 2020

監督::ダヴィッド・デュフレーヌ
プロダクション・マネージャー ::ガブリエル・ジュエル
制作総指揮::ベルトラン・フェーヴル(LE BUREAU)
共同製作::JOUR2FETE

2018年、地方都市で始まったマクロン政権に異を唱える市民たちによる“黄色ベスト運動”は、瞬く間にフランス全土に広まった。燃料価格、生活費高騰による社会的不平等に対する怒りと不満が高まるにつれ抗議はときに破壊行為へと激化。2019年3月16日にはパリで200人以上が警察に拘束された。市民の過激な行為を警察が武力鎮圧する事態はだんだん増大していく。それは正当な行為なのか?

冒頭近くで、マクロン大統領が、「人々を守る警察が襲うはずはない」と熱弁をふるう様子が印象的でした。その後、映し出されるのは、警察の暴力的ともいえる行為の数々。
本作は、各地でデモに参加した人々が撮影した生の映像などを大きな画面で見せながら、知らない者どうしを二人一組でそれぞれの思いを語るという対話形式で進んでいきます。登場する24人は、デモに参加し傷を負った当事者や家族、社会学者、歴史学者、弁護士、運転手、配管工、心理セラピストなどのほか、警察関係組織の書記長や、国家憲兵隊少将もいます。ただ、発言している映像には、それがどういう立場の人なのかは表示されません。先入観を持たないようにとの配慮です。
私が一番ショックを受けたのは、高校生たちが大勢、膝をつかされていた場面です。黒いヒジャーブ姿の母親が「息子は3時間、この姿勢をさせられた」と嘆いていました。移民の多い郊外の高校のようでした。(郊外の団地にあるマント=ラ=ジョリー高校だそうです)警察が、彼らに向かって「お利口なクラス」と言い放ちます。
この映画のフランス語タイトルは、『Un pays qui se tient sage』(意訳:お利口な国)。
お利口な市民には、警察がお仕置きをという次第でしょうか・・・ (咲)

2020/フランス/ドキュメンタリー/DCP/93 分
配給・宣伝::太秦
公式サイト:http://bouryoku-taiwa2022.com/
★2022 年 9 月 24 日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

posted by sakiko at 21:13| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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