監督・脚本・編集:近藤有希 水落拓平
プロデューサー:小楠雄士
撮影:小倉和彦
出演:平岡亜紀(高畑城子)、花島希美(市村由記乃)、鈴木卓爾(由記乃の父)、今井隆文、西元麻子
東京から故郷の島、鹿児島県長島町へ突然帰郷した城子。彼女は3年前に長島町を舞台にした映画で主演デビューをするはずが、制作が頓挫し姿をくらましていた過去があった。島には映画制作にお金を出して「制作費詐欺事件」として城子を恨んでいる人もいて、みんなの注目を集めることになった。
一方、生まれてこの方30年以上島を出たことがない由記乃は、両親と妹と今も実家で暮らしている。周囲からは結婚をせかされるが、今の生活が心地よい。父の仕事の関係で、自称女優、実は無色の城子が突然同居することになり静かだった日々がかき乱される。言いたい放題、遠慮もない城子は仕事もなかなか見つからず、由記乃と同じ掃除の仕事をすることになった。城子は懲りずに再び「映画を撮る!」と宣言。静かな島にいくつもの小さな事件が巻き起こる。
鹿児島県長島町を舞台に、初めて制作された映画『夕陽のあと』(2019)。「長島町にふたたび映画を」という町民の想いから、2作目が生まれました。監督・脚本の近藤有希、水落拓平は『夕陽のあと』で助監督を務めています。何の前情報もなく試写を観て、同じ場面が繰り返されたときにあれれ?と思いました。ものごとは一方からだけでなく、ほかの視点からも見ると違ってくる、というのを2人の監督がやってみたんですね。
島の人たちには、城子は奔放でわがままにしか見えません。けれども城子なりの理由や意思があって、譲れないことは譲れないのです。由記乃は城子と真逆に、主張するより人に合わせるタイプですが、それもただ流されているわけではありません。お節介な人や自分の意見を聞こうとしない相手に、向き合う強さも秘めていました。誰もが知り合いの地域では、すぐに噂は拡がりますが深刻にせずさらりと描いています。長島は鹿児島県ですが、北の天草寄りにある大きな島です。『夕陽のあと』の越川道夫監督のお話を思い出しながら観ました。(白)
2022年/日本/カラー/ビスタ/100分
配給:フルモテルモ
(C)私を判ってくれない
https://nobody-getsme.com/
★2022年9月3日(土)より 鹿児島 ガーデンズシネマにて先行公開
9月9日(金)より 池袋シネマ・ロサほかにて全国順次公開
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