監督・脚本:島田伊智郎
撮影:西村博光
主題歌:「あの場所で」ハルカトミユキ
出演:内田周作(月野木薫)、猪爪尚紀(香川晃)、矢崎希菜(岡田茜)、吉本実憂、野村麻純、星川祐樹 (岡田隆二)
新聞記者の月野木薫は近々結婚する予定だ。友人の岡田はシングルファーザーで、薫は彼が留守のとき子どもたちの世話をしていた。結婚準備をしながら死んだ妹を思い出し、自分だけが幸せになっていいのかと後ろめたい気持ちがわいてくる。
ある日中学校で女生徒が転落死し、加害者は岡田の娘の茜とわかった。
香川晃は被害者の少女に兄のように慕われていた。彼は中学生のとき薫の妹を殺害してしまい、13歳だったので刑事罰を受けることのなかった加害少年だった。薫と晃は再会し、あれから停まってしまった時間が動き出す。
薫が動転する岡田に言う。「14 歳かどうかが重要なんです。刑法では 14 歳未満の少年少女には刑事責任能力がないとされているので刑罰の対象にならないんです……」14歳で思い出すのは、1997年の神戸連続児童殺傷事件です。世間を震え上がらせた犯人は、14歳の中学生。この事件をきっかけとして、2000年にそれまでの少年法が改正され、刑事処分可能な年齢を16歳以上から14歳以上に引き下げられたのでした。
これが監督第1作の島田監督は、その後も起きた少年少女の事件について、少年法により罪を償い、償われる機会を失った人々はどう生きれば良いのか?いつになったら人は許されるのか?どうすれば許すことが出来るのか?と考えたそうです。薫と晃がずいぶんと近場にいて、事件を機に再会し、互いに当時と逆の立場になります。愛する人を亡くせば、それが理不尽であればあるほど、悲しみと怒りは心の奥底に沈んで消えることがありません。本作は加害者、被害者どちらについても描いて、タネを一つ蒔かれた感じがしています。(白)
2022年/日本/106分/PG12
配給:アークエンタテインメント
配給協力:クロスメディア フューレック
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★2022年9月3日(土)K's cinema他全国順次ロードショー
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